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コピーライターなら守らなければいけない。広告表現の法律とルール。

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佐野研二郎氏のデザインパクリ問題は、誰がどう見ても“こりゃダメだろ”とわかる違法行為ですが、広告を制作していると、知らないうちに犯してしまいがちなルールが沢山あります。

そこで本記事では、広告にたずさわっているあなた自身が、知らず知らずのうちにルール違反を犯してしまわないよう、様々なところでトラップのように待ち構えている、広告表現に関わる法律やNG行為をご紹介いたします。

特にコピーライターは、自分の書いた文章に責任を持たなければいけません。きちんと守ってコピーを書けなければ、コピーライター失格です。

Contents

不当景品類及び不当表示防止法

景品表示編

誰でも応募できるオープン懸賞

商品やサービスを利用した人だけが応募できるクローズド懸賞

もれなくもらえるベタ付け景品

あなたも一度ならず応募したり、もらったことがあると思います。

これを規制するのが景品表示法、正式には不当景品類及び不当表示防止法です。

オープン懸賞は、最高額1000万円という規制が10年前まであったのですが、現在では完全自由になっています。今どき、高額の景品でユーザーを釣ろうなんていう甘い考えの企業はなかなかないようですが。

商品に付いている応募券やポイントを集めることで応募の権利が得られたり、サービスを利用すると応募ハガキがもらえたり、クイズに正解することで権利を得たり、といったものがクローズド懸賞になります。

クローズド(一般)懸賞は、取引金額が

・5000円未満の場合その20倍の価格の商品まで

・5000円以上の場合は10万円の商品まで

・商品総額の金額は懸賞での売上目標の2%まで

という規制があります。

また、“購入者全員プレゼント” “来店されるともれなくプレゼント”といった、懸賞によらずに提供される総付景品(ベタ付け景品)は、取引金額が

・1000円未満の場合200円まで

・1000円以上の場合取引金額の2/10まで

と決められています。

景品で客を釣って、二束三文の商品を売る

という詐欺まがいの商売がまかりとおらないようにする消費者保護のための法律なのですが、ネットを含め、ほぼ無法地帯。違法プレゼントキャンペーン満載です。

 

この中でも特にクリアできないのが、クローズド懸賞の“総額が懸賞での売上目標の2%まで”という項目。例えば、

先着100名様限定!

と販売数を限定してしまうと、取引金額がおおやけに確定してしまいます。そこでクローズド懸賞をおこなった場合商品が1万円だとすると、

商品の金額:1万円×限定:100人×2%=景品総額2万円になります。

テレビやパソコンといった高額賞品をプレゼントしようとしても、すぐにこの上限に引っかかってしまいます。


知らずに法律を犯すことのないよう、くれぐれもお気をつけください。

 

不当表示編

テレビや新聞、雑誌では、校閲といって広告を掲載する前に不当表示に対するチェックが入るのですが、チラシやネット広告はチェックがない上、言葉による差別化を強化するために、つい誇大表現をしてしまいがちです。※折込チラシにはチェックがあります。

効果がないのに効果を謳ったり

販売実績のない価格から割引したり

産地偽装 ・成分偽装・品質偽装したり

よく見かける表現の中にも、実際にはダメなのだけれど、誰も訴えていないからバレていないだけのものがたくさんあります。

もちろん明らかなウソは法的に罰せられますが、気づかず使っている言葉の中にもNGワードがあります。

例えば、「最新」「最高」「最強」「No.1」といった最上級表現を使う際には、必ずその根拠を明示しなければいけません。よく使ってしまう「最適」という言葉も最上級表現なので、厳密には広告での使用はNG。以前、通販誌のコピーを書いているときに「最適」を「ぴったり」に置き換えるように注意されたことがあります。

「完全」「万全」「絶対」「安心」「安全」といった断定的な表現も同様の扱いです。

東電はかつて広告で「原発は安全」と言い切っていましたが、それに誇大広告だとクレームをつける人は誰もいなかったようですけれど・・・。20年以上前に起こったエコブームの際に、「人にやさしい」という言葉が広告表現で大流行したのですが、あまりにも乱発しすぎて、“広告表現で人にやさしいと表現する際は、その根拠を示せ”というムチャな通達が、お役所から発せられたこともあります。

 

daiichiNGワードを使っても、初犯は厳重注意くらいですむので、行政からの指導やクレームが入るまで使い続けるブラック企業もたくさんありますが、企業はやはり信用第一


大切な顧客が離れていかないようにするためにも誠実な表現を心がけていきたいものです。

〈参考サイト〉消費者庁

薬機法

10kg痩せた!

髪が生えた!

肌がキレイになった!

といった人体に関する直接的な効果をアピールすることを制限しているのが薬機法です。

サプリやダイエット食品、医薬品、化粧品を販売している会社は、薬機法チェック専門の部署があるくらい判断が難しく、微妙な表現の差で薬機法に引っかかったりします。

例えば良く見かける

「日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ」

というフレーズは、有効成分の承認を受けた上で使用できる定型表現となっているので、

「日焼けによるシミを防ぐ」

と言い換えることができません。

医薬品、医薬部外品に関しては、有効成分として認められた効果・効能以外の直接的な表記は不可。かなり気を使って書いても、素人では完全に薬機法に抵触しないコピーを書くのはムリです。

ブログ等で、薬機法に関わる商品をアフィリエイトをする際は、極力商品サイトで使われている言葉を引用しつつ、直接的・断定な表現は避け、個人の主観的な感想として書くようにしましょう。

〈参考サイト〉薬事法ドットコム

 

個人情報保護法

広告業界では、個人情報保護法ができるまでは、表や裏で様々なメーリングリストが流通していて、ターゲット特性に合わせたリストを入手して一方的にDMを送りつける、ということがいくらでもできました。

どんなリストがあったのかというと、年齢、性別、収入、学歴別、サラ金利用者、エステでローンを組んでいる女性、アダルトビデオをレンタルしたことがある人・・・当然そういったリストはほとんどが悪用され、ヤミ金やギャンブル系といったアコギな商売のDMやテレアポ・リストとして使われていたりしました。

賛否両論いろいろありますが、個人情報保護法のおかげで、大情報社会の中でも個人情報悪用のトラブルが最小限度に抑えられているのではないかと思っています。

現在ではお客様からハガキで応募してもらったり問い合わせを促したりする際は、その個人情報を誰が何のために利用するのか、それ以外の目的で利用することはあるのか、といった断り書きを入れなければいけなかったり、個人情報の開示や苦情処理の体制を整えていなければいけません。

また、個人が特定できてしまう写真や情報は許可なしには使えないので、モザイクをかけたり、ぼかしを入れたり、加工をすることもあります。

いずれにせよ、個人情報を流出すると莫大な損失を被ることになるので、扱いには、相当な気を使う必要があります。

〈参考サイト〉個人情報保護委員会

 

製造物責任(PL)法

電子レンジで猫を乾かさないでください。

こたつのヒーターを調理器として使わないでください。

冷蔵庫を過信しないでください。

なんていう注意書きを読んで、バカバカしいと思ったことはありませんか?

 

1990年半ば、暗雲立ち込める世紀末。訴訟大国アメリカでは企業を訴える消費者が続出。

四駆の車でオフロードをかっ飛ばしてたら事故って大怪我をしてしまったのだけれど、その車のCMでは同じようにかっ飛ばしていても事故を起こしていない。事故ったのは、かっ飛ばしても大丈夫だというイメージを与えた企業の責任だと提訴。。。

CMでやっていた通り、瓶のお尻を叩いてケチャップを出そうとしたら瓶が割れて手首をくるという大怪我をしたと提訴。。。

とんでもないクレーマーなのですが、どちらも企業側が負けています。

そういった前例を受け、製造物の欠陥による損害賠償のガイドラインとしてできたのが製造物責任法(PL法)です。

そもそもは“製造物自体の欠陥”なのですが、想定外の使い方をされて事故が起きた際にも損害賠償が発生する可能性があるということで、1995年に施行されて以来、冒頭のように製品注意書きのボリュームが倍増したり、CMに「この映像はイメージです」というテロップが入ったり、揚げ足を取られて訴訟を起こされないよう、広告表現にも自主規制をかけるようになりました。

こんにゃくゼリーを喉に詰まらせて亡くなったとか、缶にかいてある“お酒”の表記が小さくて子供が間違って飲んでしまったとか、そういったものまで製造者の責任になってしまうわけで、広告にも ※子どもやお年寄りは、絶対に食べないでください。また凍らせるとゼリーが固くなり、さらに喉に詰まりやすくなります。全体に凍らせて食べないでください。なんていう一文を入れなければならなくなったりするわけです。

とはいっても最近では、本当に製造物が管理されていないがゆえのクレームの方が多いようですが。

 

著作権法

新しいロゴが決まり、気がついたら全く世間の話題から消えた佐野研二郎・盗用問題。いろいろなことがうやむやのまま、はっきりさせないのが日本人の良いところであり悪いところ。。。

その白黒をはっきりとつけるのが著作権です。

音楽、ゲーム、書籍、動画・・・

勝手にネットに公開して逮捕されたり、ダウンロードしただけで逮捕された人もいるくらい、シビアな法律なのはご存知後思いますが…

特に“広告”という営利目的での使用については、著作権は佐野研二郎氏のように、致命的トラブルになりかねないので、かなり気を使わなければいけません。

本ブログサイトの一番下の右側にも書かれている、“©Copyright2016 koukoku-ya.All Rights Reserved.”Ⓒマークは、コピーライト(俗称マルシー)といいますが、著作権がどこに属しているのかを明記したものです。著作権があるものを映像や印刷物に使用する際には、必ず所有者の許可と使用料を払って著作権所有者の情報として併記しなければいけません。

特にディズニーやスヌーピーといった海外のキャラはものすごく厳しいです。

Intelやwindowsも、ものすごく厳しくて、パソコン本体の画像や映像を使用する際に、Intelやwindowsのロゴマーク(キラキラ光るシールで貼ってあるやつ)も写ってくるため、両方から許可をもらう必要がありました。

Appleは、基本的に無許可で使用OK(最近は厳しくなっていますが)。

テレビドラマや広告で、小道具として使用されているパソコンにアップルマークが付いていることが多いのは、デザインが優れているということだけでなく、無許可で使えるからという理由もあるのです。

Ⓒ の他に、 も良く見かけると思いますが、これはレジスターマーク(俗称マルアール)といって登録商標につけられるもの。「商標」となる文字に対して他人の使用を禁じるために届け出を出して認可を受けたもので、届け出の範疇で、他での使用が禁じられています。

例えば“ゆるキャラ”という言葉自体が登録商標なので、登録した人以外が勝手に使用することができません。そのため、それ以外で同様の意味での言葉を使用する際には、“ご当地キャラ”といい換える必要があります。

また、TM が付いているロゴを見たことはありませんか?これはトレードマークといって、

現在登録商標出願中につき、使わないでくださいね。商標登録されたら使えなくなりますよ。

ということをアピールするもので、TMが付いているうちは特になんの拘束力もありません。また、登録商標は書類を揃えて出願しても、認可されないこともあります。

かつて勤めていた会社で、「広告百貨店」という言葉を登録商標として出願したことがあるのですが、一般的なことばの組み合わせだという理由で認可が下りませんでした。

著作権に関しても、ささいなミスでとんでもない損害を被ることがあります。

これもかつて勤めていた会社の話ですが、某著名イラストレーターが書いたイラストを参考にして、新規にイラストを作成し、広告掲載したところ・・・あまりにも似すぎていたことと、全国紙の新聞掲載だったため、イラストレーターの知るところとなり、億単位の損害賠償を請求されたことがあります。結局は示談になったのですが。

個人で巻き込まれることは、なかなかないと思いますが、それでもブログやe-Book、Youtubeなどで、写真・イラスト・文章を無断借用することは、いずればれた際に、想像以上の痛手を追うことになります。

ネットで無断で拾ってきた素材は絶対に使わないようにしましょう。特に少しでもビジネスに結びつくサイトを運営している方は、お気をつけください。

〈参考サイト〉公益社団法人著作権情報センター

 

その他の表現ルール

広告制作する上で法的な縛りだけでなく、業界・業種、企業ごとにさまざまなマイルール(ガイドライン)があります。

例えば・・・

・不動産広告:徒歩時間の表記は1分80メートルで換算・物件写真は合成したり電線を消したりといった手を加えてはいけない

・官公庁の印刷物(全てではありません):ユニバーサルデザインを心がける

また大企業ともなると広告表現の細かいところまでクレーマーが目を光らせていて、クレームが入ると次回からその表現が使用禁止になります。

例えば・・・

女性にエプロンを着せた写真が女性蔑視ということでクレームを受けNGになったり

通販商品で「方耳ピアス」という商品名の言い換えを求められたり

人物イラストを描く際には、必ず5本の指が見えていなければダメだったり

気を使うポイントはさまざま。クレームが付きそうな要素をすべて排除しなければいけません。

ネットが普及した現在、その状況はさらにシビア。ちょっとでも問題があれば、一瞬にして広まってしまいます。

 

当たり前のことですが、すべてにおいて見る人を

end不快にさせない

不利益を与えない

ということが、広告表現の基本です。

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