グラフィックデザイナー・アートディレクター求人中。いい人材が集まらないクリエイティブ現場の危機的状況。
私の勤めている広告代理店では、現在グラフィックデザイナー、アートディレクターの求人中です。
昨年2016年のこと。グラフィックデザイナーからアートディレクターにまで、やっとの思いで育てた部下が、さらにスキルアップしたいといって会社を去っていきました。
そこで求人をかけたのですが、まったく集まりません。
そして・・・なんと1年が過ぎてしまいました。
その間に若手のデザイナーはなんとか見つかったのですが、ADが見つかりません。
一度、20年以上キャリアのある40代のデザイナーを採用したのですが、残念ながらキャリアと腕が比例していませんでした。
応募してくるのは、みんなそんな人たちばかり。
年齢に見合った仕事を、経験してきていません。
私が広告業界に入って3年目にバブルがはじけ、広告業界は激変。
誰もがカタカナ職業に憧れ、その頂点がコピーライターだった時代があったなんて、忘却の彼方へ。
給料が上がらないどころか、フリーのクリエイターは収入が激減。
仕事量据え置きで、収入半分なんて、当たり前の話でした。
企業は個人に仕事を出さなくなり、フリーや小さな広告プロダクションは軒並み仕事にあぶれ、消えていきます。
私が20代半ばの頃、30代働き盛りの腕のいいデザイナーやADたちが業界を去っていくのを見て、その時点でのクリエイティブの地盤沈下はもちろんですが、見習うべきADがいなくなってしまったクリエイティブシーンにおいて、10年後、20年後に腕のいいデザイナーが育たないのではないかということが、ものすごく心配になりました。
コピーライターは、ライバルが減っていくので嬉しかったのですが。
案の定、私とほぼ同世代の佐藤可士和以降、グラフィックデザイナーなんてまったく脚光を浴びることがなくなってしまいました。
いいADの仕事を見ていないから、いいデザイナーが育たない。ゆえにADなんてもっと育たない。
電通・博報堂がらみの仕事をしているクリエイターの中には、もちろんそこそこできるデザイナーはいるけれど、末端に行くにつれて、圧倒的に数が足りなくなっていきます。
さらに、ここに来て、グラフィックデザイナー需要が急上昇。
というのも、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、デザイン制作の需要が膨大な量にふくれあがるから。
そしてオリンピック・パラリンピックに関わる広告を制作できるのは、電通だけ。
広告を制作する上で、スポンサー契約を結んだ企業しかオリンピック・パラリンピックという名称は使えません。
家電量販店のチラシで「4Kでオリンピックを観よう!」と表記したり、イベントで「オリンピック記念キャンペーン」と謳ったり、「○○商店は世紀のスポーツイベントを応援します!」というポスターを掲出するのも、莫大なスポンサー料を払って正規スポンサーにならなければアウトです。
そして、その総元締めが電通というわけです。
それでは電通は仕事がいっぱいでウハウハかと思いきや、実は広告制作現場はそういうわけではなくて、労働基準法の問題で働き過ぎを是正中。
みんな24時間寝ないで仕事をしていたのに、10時には退社しなければいけない。
ということは、1人でやっていた仕事を3人でやる必要がある。
ただでさえオリンピック特需なのに、仕事時間は制限される。
ということで、多少腕は落ちても大勢のデザイナーを雇う必要がある。
ということで電通系の広告制作会社では、デザイナーの募集が急増中。
おかげで、ただでさえ少ないデザイナー・アートディレクターが、他の広告代理店や広告制作会社に応募してくることがなくなってしまいました。
今の職場であぶれているデザイナー、クリエイティブの“ク”の字もない印刷屋の下請けのチラシをつくるオペレーターに甘んじているデザイナー、フリーになったものの仕事がなくて困っているデザイナーのみなさんへ。
今が大手クライアントの仕事を手がけるチャンスです。
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ただしそれも2020年まで。
それまでによほど腕が認められなければ、オリンピック需要がなくなった後に、即切られるのは自明の理。
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