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R25、休刊。媒体としては15年前すでに終わっていた、フリーペーパーついに終焉。

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4月28日、R25、休刊。

無料なのに充実の内容で、ラックに置かれてもすぐになくなってしまう、一世を風靡したフリーマガジンでした。

同じリクルート社発行のホットペッパーとともに、フリーペーパー(無料情報誌)普及を牽引したR25ですが、よく今まで廃刊しなかったなぁ、というのが正直なところです。

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フリーペーパーって、なんでこんなにたくさんあるんだろう。

駅やコンビニ、飲食店など、様々なところで手にするフリーペーパー。
都内を一日回れば、簡単に10冊以上、入手できると思います。

例えば東急電鉄の「SALUS」や京王電鉄の「あいぼりー」、相鉄線の「相鉄瓦版」をはじめ、電鉄系の会社の多くは、それぞれに沿線価値を高めるためのフリーペーパーを自社編集で発行しています。

ちょうど記事を書いている途中で、RIZAPがぱどを子会社化するというニュースが入ってきました。

企業価値を高めるツールとして、フリーペーパーは有効に機能します。

また、小さな広告代理店は、ある程度軌道に乗ってくると、自社の広告媒体が欲しくなります。
広告費で一番儲かるのは、制作でも企画でもなく、媒体です。

例えば東急電鉄(東横線・目黒線・田園都市線・大井町線・池上線・多摩川線)の中吊り広告・B3・1350枚・平日2日掲載で定価1,060,000円。制作費はピンキリですが、印刷費込で100,000円くらいから。媒体込ならタダでつくる、なんていうところもあります。

前出のSALUSは、表4(裏面)掲載で180万円。

どちらも定価なので、実際の価格はもう少し安いです。

自社で効果的な媒体を持っていれば、ワクを売るだけで収入が得られる。

ですが、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞という4媒体から交通広告、屋外広告まで、既存の媒体を自社の広告媒体として所有することは不可能ですし、ワクを持つこともできません。
テレビのCMワクは、電通・博報堂の完全なる既得権。他の媒体も、すでに指定代理店が入ってしまっています。
ワクを持っていない広告代理店で媒体の仕事を受注しても、二次受けになってしまうので利益率が下がります。

後発の代理店ほど、なんとかして自社媒体を持ちたい、開発したいと考えるのは当然。

そこで企画のテーブルに上がってくるのがフリーペーパーです。
ターゲット、配布エリアをセグメントして、配布方法さえ押さえれば、他の媒体よりも比較的簡単に立ち上げられる。

企業にせよ代理店せよ、情報誌はとっても手軽な広告媒体なのです。

 

それでもフリーペーパーは儲からない

15年前に勤めていた広告代理店で、何冊ものフリーペーパーの制作に携わりました。

結論:

フリーペーパーは儲からない。

フリーペーパーの収入源は広告掲載費です。
それによって制作費をまかないながら、利益を上げていくのが基本なのですが、それだけで稼げるフリーペーパーに育つことはありません。

広告を掲載してくれるスポンサーが集まる媒体にするには、発行部数を増やす必要があります。
部数を増やせば、印刷代が増えます。

内容も充実させていく必要があります。
そのためにはライターやデザイナーの人数を増やしたり、ページ数を増やしたり、さらにコストが増えます。

広告掲載費を増やして利益を上げるためには、媒体価値を高める必要がある。
媒体価値を高めるためには、お金をかける必要がある。
そして、そのお金は広告掲載費でまかなうことになります。

いつまでたっても、ラクして儲かる媒体にはなりません。

その上、スポンサーを集める営業の人件費もかかってくる。
とはいっても営業がどんなにがんばったところで、そもそも雑誌が売れず、雑誌広告の需要が減っているいま、権威のないフリーペーパーに広告を掲載してくれるスポンサーなんてそうそういない。
当然定価でワクが売れるはずもなく、売れる価格まで下げる。フリーペーパーに権威をつけようと、いちばんお金をもっているはずの、大手企業の広告を無料で載せたりする。
結局、全ページ広告にしても、採算のとれない媒体に陥っていきます。

それでも定期的に発行しなければ、媒体価値は一瞬にして失われてしまうことになるので、利益が出るまでやめるわけには行かない。お金も体力も削られて、損失がどんどん増えていくのです。

フリーペーパーでの儲け方

広告掲載費だけでは、利益が上がらない。そこでプラスαの収入源を持たせようと、あの手この手を考えるのですが、なかなか上手くいくことはありません。

プラスαの収入源1
通信販売のページを設けて収益を上げる。

MD(マーチャンダイジング:紙面にあわせて戦略的に商品を揃えること)をきちんとすればそこそこ売れるし、通販への商品掲載とバーターで広告を掲載してもらうこともあったりして、それなりの収入源になることもありました。通販メインのフリーペーパーもたくさんありましたが、今ではwebにお客を取られてしまい、通販カタログ自体が完全に儲からなくなっています。

プラスαの収入源2
配布手段を収入源にする。

15年ほど前に、企業の総務を通じて配布している、OLをターゲットにしたフリーペーパーがありました。そのフリーペーパーは、毎月会社宛に、段ボール箱に入ったフリーペーパーをど〜んと届け、フリーペーパーと一緒に、サンプリング用の化粧品や健康食品を送りつけ、会社で社員に配布してもらう、というサンプリングのシステムを、収入源のひとつとして商品化していました。

R25が置いてあるラックは、R25が置いていないときは、他のフリーペーパーを配布するワクとして転用しています。
R25の場合はほとんどがリクルートの自社ものが置いてありますが、そこに別の販促物を置くことで、ラックを媒体化できます。
例えば、大学の生協にラックを置いてもらってフリーペーパーを配布するという仕組みを作れば、発行日以外に別の販促物を置くことで収益を上げるということも可能です。

また、前出のぱどは、地域密着型のフリーペーパーとして、ポスティングによって配布しています。
そのネットワークを利用して、エリアや物件(戸建・マンション・アパート等)をセグメントした、販促物のポスティング代行によって利益を得ています。

とはいえラックを置いてもらうための交渉がかなり大変だったり(ほとんどムリ)、初期投資がかかるため配布エリアを少しずつしか広げられなかったり、有効な媒体に成長させるには、それなりに交渉力とお金と時間がかかってしまいます。

 

プラスαの収入減3
販売したいものありきでフリーペーパーを作る。

これも15年ほど前のこと。
πウォーターという、いまでいうところの水素水みたいなものが流行ったときに、ある高級住宅街に営業をかけるため、フリーペーパーを利用しようとしました。
まずは、πウォーターの特集記事と広告を掲載したフリーペーパーを、狙ったエリア内の各家庭に、定期的にポスティングをすることで、πウォーターの効果をすり込んでいきつつ、πウォーターの認知度と、会社の認知度をアップ。
そろそろ会社の認知度も上がっただろうという頃に、営業が戸別訪問。
「πウォーターを扱っている、○○○○会社のものですが」、といって訪ねていくのですが、だれも玄関を開けてくれることなく、まったく効果がなかったそうです。

もうひとつ15年ほど前の話。
ネットが使われ始めた18年位前のこと。イベント会社と広告代理店が組んで、複数の大学を横断する大学生のコミュニティサークルをネット上につくり、そのコミュニティ誌としてフリーペーパーを制作。
コミュニティサークルを会員制にして会員証を発行し、イベント会社は会員をイベントに参加させることで収益を上げ、ネット運営&フリーペーパーを作っていた広告代理店は会員証にJCBカードを付けて、入会時のJCBからのキックバックで収益を上げようとしていました。
それぞれの大学に会員募集のプロモーションを書けたのですが、学生はあんまりお金を持っていないのでカードを作りたがらない。
ということで、あっという間に頓挫しました。

おまけでもうひとつ15年ほど前の話。
パチンコの攻略会社を立ち上げた際に、顧客リストを得るためのパチンコ情報のフリーペーパーを発行。
新聞折込チラシでフリーペーパーの発行を告知して購読を促し、申し込んできた人たちのリストをもとにパチンコ攻略法販売のDMを送るという回りくどい仕掛けでした。
ところがギリギリでフリーペーパーから有料の情報誌に変更となり、1冊しか売れずに企画は頓挫してしまいました。

他にもホットペッパーや求人のフリーペーパー等は、広告掲載ワク自体が商品になっているので、生き残っているモノが多いです(コンテンツを作る必要がないので、制作コストがあまりかからないということもありますが)。

 

プラスαの収入源4
大きなスポンサーをつけて制作する。

例えば、車を運転する女性向けのフリーペーパーを作って、ガソリンスタンドで配布するという企画を石油会社に売り込んで、制作費と配布チャンネルを提供してもらう。
ドライブ情報を紹介するフリーペーパーを作って、カーディーラーに売り込み、制作費と営業所という配布チャンネルを提供してもらう。

冒頭で書いたように、大手企業等のPR紙として企画して、冊子自体にスポンサーを付けるのが、一番現実的なフリーペーパーのカタチです。
もちろん編集内容に口出ししてきたり、他の会社の広告を掲載する際に制約があったり、自社媒体としてのフリーペーパーではなく、クライアントの定期発行物を作るという色合いが濃くなってしまいますが。

とはいえ、今のフリーペーパーは、ほとんどがこのカタチで作られているのではないかと思います。

 

フリーペーパーって、やっぱり儲からない

いまでもクライアント発行のフリーペーパーの仕事はやっていますが、効果も反応も、あまりパッとしないのが現実です。
あらゆるコンテンツがwebに転がっているのに、なんで印刷物だけの情報がいるんだろう。

R25の休刊は、紙媒体で儲ける時代の、遅すぎた終焉です。

紙をメインに書いていたライターは、webにシフトしなければ、間違いなく生き残れなくなってしまいました。

 

情報誌から、ブログへ。

ライターから、ブロガーへ。

シフトしていきつつも、やっぱり紙媒体の可能性を、切り拓いていきたいですね。

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