営業支援から求人まで。会社案内の制作もコピーライターの仕事です。
30代前半の頃、くらしあんしんでおなじみの「クラシアン」でコピーライターを募集しており、その採用の面接にて、
「会社案内を作るとしたら、あなたは何を考えて作りますか?」
という質問をされたのですが、
“会社案内なんてやりたくないゾ”
と、思いながら答え、案の定不採用になりました。
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会社案内の制作は、当然コピーライターの仕事です。
まだ若く、会社案内のようなSPよりも、CMやポスターの類いをやりたかったので、“会社案内なんて、やりたくない”と思いはしたものの、会社案内も、使い方によっては広告戦略の大きなキーとなるツールです。
例えば新規顧客に対する初回の面談時、会社の実績や事業内容を伝え、信頼感を与え、取引のきっかけを作る上で、会社案内は強力なセールスプロモーションツールになります。
新卒採用の際にも、資料請求や会社説明会の際に、会社の良さを学生に伝えるため、正規の会社案内とは別にリクルート用の会社案内を制作する企業も少なくありません。
ターゲットに対してどうやって会社をより魅力的に伝えるか、ということを考えなければいけないのは、広告とまったく同じなのです。
目的に応じた構成案を考えることから、コピーライターの仕事ははじまります。
銀行から融資を受けるためにちょっとでもいい会社に見せるためだったり、ステークホルダー(株主、債権者 etc.)へのアピールだったり、新規顧客へのフックだったり、新卒採用のためだったり。
まずはそれぞれの目的に応じてコンテンツ(構成要素)を考えて、台割(ページ構成案)を作ります。
・簡易なもので良いのなら、代表挨拶・会社概要・沿革・経営理念を押さえたA4・4ページ構成が基本。
・もっと詳細に、会社の事業領域・製品(サービス)概要・開発環境・設備・社会貢献活動などを掲載するなら、8ぺージ~16ぺージは必要。
・さらに具体的な商品説明までを会社案内に盛り込みたいというオーダーもあります。営業ツールが一冊で済むように、会社案内と商品カタログをまとめる場合は、その分のぺージがプラスされていきます。
とりあえず構成案が決まると、本来ならば、そこからラフを作り始めます。
ラフというのは、ざっくりとしたデザイン入りの構成案のようなもの。なのですが、今ではラフを飛ばして、カンプという完成形に近いものをいきなり作ってしまいます。
どこからどこまでが、コピーライターの仕事なのか。
最近のクライアント(会社)は、原稿を全部支給して来ることがほとんどです。そうするとコピーライターの仕事の領域は、校正くらいしかありません。
ですが本来は、セールスポイントの抽出からページ構成、社長への取材による社長メッセージからスローガンまで、コピーライターの守備範囲は、あらゆる面に及んでいます。
価格で負けたプレゼンのボツカンプを紹介します。
こんな感じで、台割から構成、デザインを含めた見せ方までを考えた上で、フルコピー書き起こしています。
何故その本来のコピーライターの守備範囲で仕事ができないのか。
プロに任せてくれればいいのに、クライアントが原稿を支給してくる。その理由のひとつとして、予算の問題があります。
必要だけれど直接利益を生むことがない会社案内に対して、それほどお金をかけられない。少しでも安くしたいため、コピー代を払いたくない。見積もりを見て「原稿はこちらで用意する」っていわれてしまいます。
もうひとつは、会社案内を作るスキルをコピーライターが持っていない。
会社案内の制作って、その会社を経営者視点で俯瞰しつつ、第三者的視点で再構築するという、実はかなり難易度の高い作業です。
本来なら、何年か付き合いのあるクライアントでなければ会社案内なんて作れない、というのが持論です。
ところが小さな広告代理店で仕事をしていると、新規クライアントから会社案内を頼まれることがやたら多い。そうすると、どうしても理解度が低いまま、提案・制作することになります。それでもなんとか経験値でこなしているのですが、やはり消化不良感は禁じ得ません。
まとめ
会社案内を作ると、その会社の状況がよくわかります。
そうすると、広告提案もしやすくなるはずなのですが、なかなかそういうわけにはいきません。
なぜかというと、ほとんどの会社は会社案内と広告の発注部署が分かれています。なので、同じ会社の中で、会社案内の担当者から広告の担当者を紹介してもらうというところから、あらためて営業をはじめなければならないのです。
もうひとつの理由として、広告を作っていない会社が多い。
会社案内はどの会社でも必要になりますが、広告は必要としていない会社も数多く存在しています。
ということで会社案内は、あまり儲かる仕事でも、オイシイ仕事でもない。
それでも会社案内を作っていると、いろんな仕事があるんだなぁと、とても勉強になります。
クリエイティブな要素が少ないので、あまり面白い仕事でもないんですけどね。