ADとSPの違いがわかると、キャッチコピーの見方が変わってくる。

広告制作現場にて、広告は大きくADとSPにわかれます。

ADは、advertisementの略。いわゆる広告です。

ビジュアルとコピーで目を引いて、ブランドイメージを上げたり、新商品の発売を告げたり、企業の認知度を高める。

即アクションを促すものではなく、メッセージを刷り込むものとして機能します。

SPは、Sales Promotionの略。販売促進ツールです。

チラシ、カタログ、DM、リーフレット。即売りにつなげるための制作物を総称してSPツールと呼んでいます。

具体的なメリットの提示や商品説明、価格表記等、ツールに合わせて情報を盛り込み、セールスをサポートします。

(ちょっと乱暴ではありますが)ADとSPのキャッチコピーの違い

・好きだから、あげる。
・愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。                   ・その先の日本へ。
・不思議、大好き。

なんていうキャッチコピーはAD。

・今だけの大特価セール開催中!
・聴くだけで英語が話せるようになる。
・体脂肪を燃やして夏までに痩せる!
・水のトラブル今すぐ解決!

なんていうのはSP。

最近では、圧倒的にADが減っていますが、それでも缶コーヒーとかビールといった、商品特徴による差別化が難しい商品や、ファッションビル(ルミネやラフォーレ)のシーズンポスター等、ビジュアル&キャッチで見せる広告も、まだまだ大手企業の広告を中心に残っています。

ADはSPより偉い。

とはいうものの、私が広告業界に入った90年代前半にさかのぼっても、そもそもADとSPの仕事の割合はAD2:SP8くらい。そして、上から2割の優秀な人たちがADをやって、8割の人たちがSPをやっていました。

チラシ、カタログ、DM、リーフレットなんていうのは、多少経験を積めば誰でもできる。仕事のできないクリエイターの仕事。
クリエイターの晴れ舞台はAD。だからみんなADを目指して腕を磨いていたのです。

現在でも、ADの仕事は上から2割(0.5割くらいかも)の優秀な人たちだけのもの。ADを競うTCCが、電通・博報堂独占状態なのは当然なのです。

ADはSPより稼げない。

SPは、カタログ等ボリュームがあるものや、チラシ等手離れの良いものが多いので、制作費は安くてもそれをガンガンこなしていけば、そこそこまとまった利益を生むことができます。

今となっては制作費が下がり過ぎ、給料が安い契約社員の、サービス残業・サービス土日出勤で数をこなし、なんとか経営しているのが広告制作会社の現状です。

ADは、とにかく時間がかかります。最初に提案してから、フィニッシュが半年後なんてこともざら。20年以上前に手伝わせてもらったBMWの新聞広告なんて、受注から制作、掲載まで、2年かかっています。

バブル以前は、ポスター1枚に500万円とか制作費をかけることができるものもあったので、海外ロケも可能でしたが、今となっては、ワンビジュアル・ワンキャッチにそこまで出すクライアントはまずいません。

キャッチコピー一本書くのに徹夜の連続。で数ヶ月悩み続ける。かかった時間と制作費を考えると割に合わないと思いつつ、いい仕事、いい作品ができるということをやりがいにしてキャッチコピーを磨いていくのです。

そうこうしているうちにネットのセールスライターの方が稼げるようになっていしまい、コピーライターのヒエラルキー(階層)は崩壊中。

そもそもSPはADから派生するものです。

ADで認知度・好感度を上げ、SPで実売に結びつける。というのが、広告の基本的な流れ。
ADのビジュアル&コピーが決まれば、SPではそれを展開するだけなので、SP制作はたいしてクリエイティブな仕事ではなく、あくまでも作業がメインになります。

ADは広告戦略がセットになって初めて機能し、SPはADを補完するもの。

なのですが、広告戦略を立てられるほど予算を費やすことができない今となっては、ほとんどがいきなりSPになってしまっているのです。

即結果が求められる現在の広告事情の中で、巷にあふれているのが、SPのキャッチコピー。

SPをこなしながら腕を磨き、コピーライターが目指しているのが、ADのキャッチコピー。

ADとSPのキャッチコピーを同じ土俵に乗せて、“こんなコピーで売れるわけがない”とADを一刀両断にしているコピーライティングの本を見るにつけ、“いやいやそれはそうじゃない”と反論したくなるのですが、“自分が書いたコピーじゃないし、まあいいや”と思うようにしています。

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