クリエイティブディレクターは、広告の品質を保つための要職です。
千原ジュニア、雨上がり決死隊・宮迫博之、高橋みなみの3人が出演するマクドナルドの新CMに対し、違和感を訴える視聴者が相次いでいる。日刊サイゾー
テレビを見ても、新聞を見ても、電車の車内広告を見ても、最近の広告って一方的な情報の押し売りばかり。ほとんどの人が不快に思っても、1%の人に届けばOKの、ラーメン二郎的SP広告が目立ちます。
イヤでも目に入ってくるものだからこそ、誰にも好感をあたえるものでありながら、ターゲットに正しく届く。
それが広告の最低の品質基準だと思うのですが、最近では見る人を不快にさせる広告も少なくなりません。
広告はコピーライターとデザイナーとの共同作業で作るものです。
ところがいまは予算も人材もないために、コピーライターなしで広告が作られることも増えています。
大手広告代理店が制作している一流企業の広告以外は、ほとんどコピーライター不在で広告が作られているのが現状です。
クライアントから原稿をもらい、クライアントからいわれたとおりにデザイナーが組む。
当然クオリティは中国製品なみに落ちるのですが、そもそも広告にクオリティ管理の基準がないので、それがまかり通ってしまいます。
広告のマイナス効果は、なかなか目には見えません。
それでも低品質な広告を発信し続けていると、ブランドイメージは疲弊して、いつしか消費者から背を向けられる事になってしまいます。
クオリティ管理の基準=クリエイティブディレクター。
前出の通り、広告を作るのは、コピーライターとグラフィックデザイナーの仕事。そしてその上に、アートディレクター(AD)がつくこともあります。
狙ったビジュアルでより効果的に広告が機能するように、デザインを中心に広告のクオリティを高めていく、美術監督みたいな存在です。
そしてさらにADの上に、クリエイティブディレクターというポジションが存在します。
クリエイティブディレクターの仕事の基本は
アイデアは斬新で、正しく機能するものか。
コピーは伝えたいことを魅力的に表現しているか。
デザインはメッセージの価値を高めているか。
媒体はターゲットに、確実に、効果的に届くか。
ということを念頭におき、広告全体を俯瞰して道すじを定め、正しい方向に導く。
クリエイティブディレクターは、コピー・デザイン・媒体まで、広告全般を統括し、その品質における責任を担っているのです。
量から質へ。広告品質を高める時代。
ネットやSNS、新しいメディアの登場によって大量の情報が発信し続けられている中で、その情報をターゲットへ届けるための手段は洗練され、精度が高まっています。
現在巷に溢れている、テンプレートで作られた、似たり寄ったりのメッセージ&ビジュアルの中で、広告効果を高めるためには、広告の質を向上させる必要があります。
クリエイティブディレクター不在、アートディレクター不在、その上コピーライターすら不在の現状で、広告の品質を上げることは不可能です。
コピーワーク+デザインワーク(アートディレクション)+クリエイティブディレクション=広告品質
どんなに手段が変わっても、原理・原則を踏まえなければ、決して良いものは生まれません。
あらためて、手段だけではなく表現での差別化が必要とされる時代、広告の品質を高めるために、クリエイティブディレクションは必要不可欠な存在なのです。
クリエイティブディレクター不在の仕事でも、クライアントに言われるがままの低レベルのオペレーション仕事でラクをしている現状に甘んじることなく、自分がクリエイティブディレクターの目を持って、腕を磨き続けることをおろそかにしてはいけない、ということはいうまでもありません。