結果を生む、マーケティング戦略と広告戦略と広告制作の正しい関係。
大学生の頃、マーケティングの授業で、教授の書いた本が教科書として使われていました。買う前にサラッと目を通したのですが、日本語の意味がまったくわかりません。何度読んでもわかりません。日本人が日本語で書いた本なのに、グーグル翻訳の方がましなくらい、致命的に文章がへたくそです。なのに2千円以上するので、バカバカしくて買うのをやめました。
ところが、試験の範囲発表時に衝撃の一言。
「教科書持ち込み可。」
これがマーケティングなのか。やられた。仕方がないので教科書買いました。せっかく買ったのだから一生懸命読みました。でも、まったく意味がわからず、授業も出ていなかったのでテストはまったくできませんでした。
その後、すぐに大学辞めてしまったので、やっぱり買わなければ良かったと後悔しています。
さらにその後、コピーライターになり、やっぱりちゃんとマーケティングを学んでおけば良かったと後悔しています。
とはいっても当時のマーケティング論なんて、今となってはまったく使いものにはならないのですが。
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マーケティングとは
マーケティングとは企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。(ウィキペディアより)
わかったようなわからないような説明ですね。
マーケティングとはなんぞや。
いろいろな本を調べてみても、どれもこれもウィキっぽい説明ばかり。大学教授の教科書を彷彿とさせます。
“経済とは”、“日本人とは”、“メディアとは”、などと同じように、おそらくイメージは共有できているはずなのですが、いざ説明するとなると千差万別。
時代とともに方法論が変わっていくこともあって、とてもひとことでは説明できません。
“売れるしくみづくり”
という表現をしています。多少の違和感や例外はあるものの、およそこれが、誰もが共有できる最大公約数的な解釈なのではないでしょうか。
大学の時に嶋口教授に教わっていたら、ちょっとは優秀なマーケッターになれていたかも。
広告戦略とは
広告戦略とは、マーケティングを滞りなくすすめていくための手段のひとつ。
ターゲットへ“売れるしくみ”の橋わたしをしていくわけですが、その際に、ふたつの戦略を考える必要があります。
ひとつはクリエイティブ戦略。
ターゲットに対して、思惑通りにメッセージを伝えるコミュニケーションツールとして広告を制作します。
もうひとつはメディア戦略。
制作した広告物を、ターゲットに確実に届けるために、どんな媒体を使えばよいのかを精査・決定します。
このふたつの歯車が噛み合わさってはじめて、広告目的の達成へと近づいていくことができます。
広告制作とは
マーケティング戦略があって、それを実践するための広告戦略があって、それがさらにクリエイティブ&メディア戦略に展開されていく。それらすべてをふまえた上で、最終的にターゲットに届けるメッセージとして、キャッチコピー&グラフィック・デザインを組み合わせた広告が制作されます。
コピーライターは、マーケティングの枠組みの中で、広告目的を達成することと、メディア特性に合わせたアプローチをするという制約の中で、新しいコミュニケーションの切り口を探します。もちろんグラフィック・デザイナーもおなじです。
広告制作者は、スキルアップするにつれ、メディア戦略や広告目的までを管理できるようになっていきます。
そして、クライアントからの信頼を得ることによってはじめて、マーケティングにまで関わる仕事ができるようになります。
webマーケティングは、そのほとんどがwebの枠組みの中だけで完結するので(最近ではそうでもなくなってきていますが)、ある程度すべてを見渡した上で戦略を立てることができます。
ところが現実のマーケティングは、広告の枠組みだけでは完結しません。
例えば飛び込み営業の信頼度を増すための広告による企業の認知度アップ。
住んでいる人の所得層を踏まえたエリアごとの営業ツールの作成。
量販店での店頭装飾。商業施設におけるテナント誘致。ブランドイメージを踏まえたスタッフ教育。
そういったことまでを含めた企業活動として真のマーケティングを構築するのは、いちコピーライターの力だけではなかなか及ぶところではありません。
佐藤可士和がユニクロの柳井正から絶大な信頼を得て、マーケティングにまで影響を及ぼすクリエイティブ・ディレクションができるようになるまでには、相当な努力をしているのです。
広告制作の現状。
最近では、企業にマーケティングを踏まえて広告戦略を立てられる専門職がいない上に、完全に縦割りで部署ごとの連携が取れていなため、マーケティングがまったく機能しないところがほとんどです。
かつては、どの企業にも宣伝課があって、各部署の思惑を束ねて舵取りができる強い社内調整力を持った担当者がいたものです。彼らのほぼすべてが、バブルがはじけた頃に代理店との癒着がばれ、絶滅してしまいました。
いまでは、ひとつの商品を売るにも、一般営業と法人営業と商品開発とプロモーション、それぞれの担当部署がバラバラの思惑でツールを作ったりして、マーケティングもなにもあったものではない、というクライアントがものすごく多いです。
そこにネットが絡んでくると、さらに部署が別。
それを広告代理店が束ねられれば良いのですが、それぞれ別の業者に出していたりして、一般営業用のツールを作っている途中で、ネットにビジュアルを流用したいから、別の業者に送ってくれ、なんていうルール無視のオーダーも日常茶飯事です。
マーケティング戦略をしっかりと立てて、それを広告戦略、メディア戦略、クリエイティブ戦略へとブレイクダウンしていく。
効果が得られる広告を展開するために、クライアントを正しく導くことも、コピーライターの重要な役割なのです。