コピーライターの資料探しは、古書店の街、野毛・伊勢佐木町で。
いまでは人気のグルメタウンとして、若い人や女性にも人気のトレンドスポットになっている野毛。
ですが、そもそも戦後の闇市から始まって、ずらり居酒屋が建ち並び、場外馬券売場あり、ヌード劇場あり、さらにはJAZZ喫茶からJAZZ BARまで、風俗と文化が渾然一体となった、容易に足を踏み入れることのできない、ディープな一角でした。
ホッピー仙人や野毛ハイボール、コッコ堂といった、食べログで星3.5を超える人気店が並ぶ都橋商店街も、かつては昼間でも恐くて近寄りたくないダークサイドな場所でした。
野毛で育った父から、小学生の時に聞いた、昭和30年代頃の話。
都橋商店街の店では、クスリが入った瓶を、窓の外にヒモでつるしていたそうです。警察がガサ入れにくるとひもを切って、大岡川に流して証拠を消していたとのこと。
軽いトラウマです。
そんなコワ〜い野毛ですが、もうひとつ、幼い頃に刻み込まれたイメージがあります。
それが古書店街。
週末になると、「資料を探しに行く」というコピーライターだった父に連れられて、野毛山動物園とセットで、野毛の古書店巡りをしていました。
野毛の通りには3〜4店くらいの古書店をが軒を連ねていました。
それぞれに品揃えがいろいろで、当然普通の本屋には並んでいない書籍や、雑誌のバックナンバーなんかがずらりと並んでいました。
そんな中で私は、映画のパンフレットのコーナーを見るのが大好きで、中学生の頃までコレクションしていました。
父の資料探しは、まず野毛の古書店をまわり、伊勢佐木町商店街の有隣堂に寄ってから、伊勢佐木町商店街の外れにある数件の古書店を覗いていました。
私がコピーライターになってからの資料探しは、もっぱら伊勢佐木町のオデオンにあった「先生堂書店」。2フロアにわたって、かなりマニアックな本(サンリオ文庫や洋書、映画・グラフィック関係の書籍etc)が揃っていたので、よく覗きに行っていました。
その後、ほどなく訪れた、リサイクルブックセンターというトレンド。
中古書店のオンリーワンショップとなっているブックオフが、個人経営でほこりをかぶった古書店を明るく、清潔なリサイクルブックセンターに生まれ変わらせ、一気に市場を席巻してしまいました。
オデオンの「先生堂書店」はなくなり、オデオンは丸ごとドンキホーテに。
有隣堂のはす向かいにはブックオフが出店。
それでも、伊勢佐木町商店街の外れには、今でも古書店が散見できます。
大抵の資料はネットで入手できるし、生活圏内に海老名私立図書館〈TSUTAYA図書館〉もあります。で、やっぱりブックオフは便利。おかげで、昔ながらの古書店巡りから、かなり足が遠のいてしまいました。
仕事で神田古書店街の近くまでいっていながら、古書店を覗いてみることすらしなくなっています。
でも、やっぱり足で探した資料を参考にして書いた文章は、確実に説得力が違います。
知的好奇心も刺激されるし、偶然出会った一冊の本から、新しい知識を広げることもしばしば。
物書きとして手を抜かず、できる限り、ぶらりお宝資料本探しの旅をしなければなぁと、ブログを書きながら、反省しきり。
コピーライターなら、資料は足で探すこと。
コピーライティングの作法として、大事なことをすっかり忘れていました。
と書いておきながら、神田神保町のオフィシャルサイトはヤバイです。古書店52店、新刊書店6店の在庫を調べられるデータベースと、ネットで注文できるフォームが・・・。ますます足で探さなくなりそうです。
要チェック!→ BOOK TOWN じんぼう