100匹目の猿は、バズ・マーケティングを先取りしていたのか。
今から20数年前、まだインターネットもパソコンも、携帯電話すら普及していなかった頃。
広告業界ではすでに、マスコミから口コミへのシフトが取りざたされていて、口コミの重要性の裏付けとなる理論としてよく語られてたのが「100匹目の猿現象」でした。
宮崎県串間市の幸島に棲息する猿の一頭がイモを洗って食べるようになり、同行動を取る猿の数が閾値(この現象を創作した学者のライアルワトソンは仮に100匹としている)を超えたときその行動が群れ全体に広がり、さらに場所を隔てた大分県高崎山の猿の群れでも突然この行動が見られるようになった《wikiペディアより》
というもので、口コミで伝わっていく上で、ある一定の数を超えると、その後は同時多発的に、爆発的に広まる。
という口コミマーケティングを語る上で、ものすごく魅力的な理論でした。
これって、日本ではカルト経営コンサルタントの船井幸雄が広めたもので、私もその真偽が問われる前は、先輩のクリエイティブディレクターが企画書で引用しているのを見て、説得力が増すなぁと感心したものです。
いまだにそんなことをまことしやかに言っている経営コンサルタントも見かけますが、多くの方がご存知の通り、これって完全なるフィクションです。
そんなこと、あるわけがない。
それでも一時はみんなありがたがって、100匹目の猿現象を引き合いに出して、口コミマーケティングを持ち上げたものです。
当然口コミは、大きな効果を発揮します。
でも、爆発的に広まるまで我慢して、口コミへのアプローチ続けたからといって、100匹目の猿はついぞ現れないことがほとんど。
一部の成功事例だけが一人歩きしているわけです。
20年以上広告業界に携わってきてわかったことは、ビジネスは戦略を組み立てて展開していかなければ成功はあり得ないけれど、戦略を組み立てて展開しても、上手くいくとは限らないということ。
マクドナルド、グーグル、ユニクロといった一流企業ですらマーケティング戦略を失敗するくらいですから、人の行動なんて、なかなかコントロールできるものではありません。
ところが現在では、インターネットを媒体に、膨大な数のネット民の中でもセグメントされたターゲットにきめ細やかにアプローチできるシステムを構築できるようになっています。
その中で、セオリーに従ってブログやメルマガをコツコツと継続していくことによって、突然バズって何百、何千というアクセスが集まる。
まさに100匹目の猿現象のようなことが、ネット上でのマーケティングでは起こりうるようです。
同時多発的…ではないですけれどね。
とういうわけで、リアルビジネスでの広告スキルだけでなく、ネット広告のスキルをさらに磨いて、100匹目の猿を見つけたいと願う、今日この頃です。