キャッチコピーから校正まで。頭脳×肉体労働=コピーライターの仕事
かつて、コピーライターといえば、キャッチコピーを書くことが仕事のように思われていた時代があります。
でもコピーライターという職業が誕生してから現在に至るまで、コピーライターはキャッチコピーだけを書いているわけではありません。実際は、本気でキャッチコピーを書く機会なんて、年に10回もあるかどうか。
日常業務としては、パンフレットやカタログなどのライティングがメインになってきます。クオリティを求められるだけではなく、ボリュームも大事。
商品説明からスペックまで、制作物に記載されている大量の文字情報を、スピーディに書き上げることもコピーライターの大切な仕事なのです。
「えっ、こんなことまでコピーライターがやるの?」
という仕事も、たくさんあります。
コピーライターという肩書きだけではなかなかわかりにくい、その仕事の中身を紹介します。
Contents
私がやってきた、コピーライターの仕事。
コピーライティング
もちろんこれがメインの仕事。前述の通り、広告制作物の文字情報のすべてを書き上げ、管理するのがコピーライターのメインの仕事です。
アイデア出し
広告はコピーとデザインで成立しています。
コピーはコピーライター、デザインはグラフィックデザイナーが担当しますが、アイデアは別々に考えるわけではありません。お互いに、コピーとビジュアル、セットでアイデアを出し合って、一緒にブラッシュアップ(より良い表現へ磨き上げていくこと)していきながら、広告として完成させます。
コピーライターがビジュアルアイデアを出すことも、日常的におこなっているのです。
ネーミング
類語や文字列等、膨大な単語のデータベースをネットでチェックできるようになってしまったので、活躍の場があまりなくなってしまいましたが、今でもたまに依頼が舞い込んできます。
インタビュー・取材
会社案内や学校案内、情報誌等、エディトリアル(編集)な仕事の中で、記事を書くこともコピーライターの仕事。
社長や社員、学生やタレントにインタビューして原稿を起こす。
お店や企業の取材をしてコピーを書く。
クライアントによっては、かなりの頻度で発生します。
広告・Web・マスコミの転職・人材派遣はマスメディアン
台割・構成案制作
広告制作物はペラもの(ポスターやチラシ等、1枚だけのもの)だけではありません。
カタログ・パンフレット・会社案内・学校案内・社内報・情報誌・・・様々なページものの台割(ページ構成)を作るのも、コピーライターの仕事。
また、各ページに掲載する情報の構成も、コピーライターが考えます。
もちろんデザイナーと打ち合わせをしながら、より伝わりやすい見せ方を決めていきます。
テキスト入力・文字校正
これは、あまりやりたくない単純作業なのですが、元の原稿のデータがない場合は、テキストデータを入力する必要があります。
また、校正もコピーライターの重要な仕事。文字の間違いを、完成後も修正できるwebと違い、印刷されてしまうと取り返しのつかないことになります。当然一文字の間違いも許されないので、かなり大変な作業になります。
コピーライターになりたての頃は、ほぼ毎日、1日中、校正だけをやっていました。
ビジネスレター作成
自社制作物や、付き合いの長いクライアントからの依頼で、社内文書や移転のお知らせ等を依頼されることも。カーディーラーで働いていた時に、会長がゴルフコンペでホールインワンを達成。記念品に添える礼状を書いたことがあります。
企画立案・企画書作成
もちろん、広告企画もコピーライターの仕事。というよりも、実はこれがコピーライターの真の仕事といえます。
企画書を書く際には、最終的に制作物に落とし込むことになります。その際に、ロジック(理論)とクリエイティブ(発想)を、説得力を持ってこじつけなければいけないのですが、これがかなり厄介。
デザイナーがなんとなくデザインしてしまったものに対して、“先進性の中に、人と人とのつながりを表現しています”なんていう苦し紛れの意味付けをして、自己嫌悪に陥ることもあります。
撮影
本来、撮影の際にコピーライターがやるべき仕事はないのですが、時と場合によっては関わることも必要になります。
モデル・オーディションの立会い、ロケハン(撮影場所の下見)、撮影の立会い、タイムキーパー(撮影の進行管理)、小道具の手配などを、コピーライターが担当することもあります。
その他
媒体制作のためのリサーチ・街頭アンケート(今はできませんが)・営業マニュアル作成・ロゴマークのコンセプト作成・占いコンテンツ作成・推理アドベンチャー執筆(企業サイトのコンテンツとして)などなど、コピーライターの仕事の領域は、以外と多岐にわたっています。
コピーライターという仕事は必要なのか?
いきなり核心をつく見出しになってしまいました・・・。
これだけ色々な仕事を時には複数同時進行でこなすこともあるのに、コピーライターの需要は減少するばかり。
プロフィールにも書いていますが、この10年で、新卒の求人はほとんどなくなってしまいました。
・・・というのも、前述のすべての仕事が、コピーライターなしで、できてしまうからなのです。
コピーライターでなければできないことって、なんでしょうか。
コピーライティング?
いまではクライアントが書いてきてしまいます。
アイデア出し?
デザイナーだけでなんとかごまかしています。
校正も、テキスト入力も、台割・構成案制作も、企画書も、コピーライターでなければできないものって、ひとつもありません。
でも、コピーライターが関わらなくなったおかげで、世の中の広告が、どれもこれも、どこかで見たことあるような、凡庸なものばかりになってしまいました。
コピーライターの仕事の本懐は、あふれる情報をかいくぐって、言葉を届けたい相手に伝えることにあります。
最近のコピーは、かいくぐる力を持っていません。
かつてコピーライター35歳定年説なんていわれていたのですが、まわりを見渡すと、本当に力のあるコピーを書ける人があまり育っていないおかげで、まだまだ現役で勝負できる! と、ちょっと安心しています。
とはいえ、腕が鈍ってきているのも事実。
もう一度コピーの腕を磨き直しつつ、時代を切り取ることができるコピーライターを育てていけたらいいなぁと思っています。