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乳ガンは女性の心の健康までを奪う。そのとき男はなにができるのか。

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風邪をひくようにガンになる時代

日本人の2人に1人がガンになるといわれています。
国立がん研究センターがん対策情報センター(2013年データより)

その原因は様々ですが、最大の原因は、急激に伸びた寿命にあるのではないでしょうか。
ほんの100年前の1916年の平均寿命は43〜44歳くらい。発がんリスクなんて考えている間もなく、他の死因(結核・肺炎・脳血管疾患等)で寿命を迎えていたわけです(乳幼児の死亡率が低くなったということもありますが)。

日本人女性の11人に1人が乳がん

最近では多くの芸能人やタレントも乳がんへの罹患を公にしていますが、日本人女性の11人に1人が乳がんを発送するリスクがあるといわれている現在、それ以上に、誰も知らないけれど乳がんにかかっている人が、たくさんいるのではないかと思います。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(2012年データより)

そもそもつい最近まで、ガンは本人に申告するかどうかということすらためらわれていた不治の病でした。
最近では早期発見すれば、治療可能な病気になってきています。

とはいえどんなガンでも発症してしまうと、深刻なダメージを与えることに変わりはありません。
その上乳がんは女性にとって、男性には計り知れないダメージを与えることになります。

私の母は乳がんで亡くなりました

25年前。50歳を迎えた母は、胸のしこりに気づきます。
ガンではないかと思っていたようなのですが、そのまま1年間放置。
しこりが大きくなってきたので、ようやく病院で検査を受けると、やはり乳ガンという診断を受け、左の乳房を全摘出。

「お母さん、こんなになっちゃったぁ・・・」

と、左胸にざっくりと20cm以上にわたって残る、乳房を取り除いた生々しい傷跡を見せられました。

そして抗がん剤投与。

髪がどんどん抜けていきます。

左胸をなくし、髪を失う。

子供を四人も産んで、たくましく育ててきた母が、

「女じゃなくなっちゃったよぉ・・・」

と泣きじゃくりました。

50歳を過ぎていても、それが女性にとってどれだけショックなのか。

当時はもちろん、今でも想像がつきません。

精神的にも体力的にもようやく落ち着いてきた2年後に再発。
リンパに転移していました。

そしてリンパ摘出。

医者からは再発率80%以上といわれましたが、その数字の意味するところをまともに受け止めることなく、

「20%は助かるのなら、母に限っては死ぬことなんてない。」

と、完全に現実を逃避。

母も現実を逃避して立正佼成会に入信するものの、

「宗教は何も助けてくれない」

といって3か月後に脱会。

そして再発。

脳と骨、そして全身に転移。

激痛に耐えながらも意識を保ったまま亡くなるのを待つか。
まともな意識は保てなくなるけれどクスリで痛みを止めるか。

医者から2択を迫られ、痛みを止めてもらうことに。

程なく、意識があるときも朦朧としていて、まともな会話ができなくなりました。
そして、クスリが切れると、ものすごく暴れ出す。

経験の浅い看護婦さんは、

「あんな穏やかな人だったのに、あんなに大暴れするなんて・・・」

とショックを受けていました。
私は、その場面を見ることはありませんでしたが。

亡くなる直前、時間を作っては母のベッドの横で1〜2時間くらい過ごすようにしていたのですが、いつもクスリが効いていて、ずっと眠ったまま。

そんな母が、朦朧とした状態で、私に対して最後に絞り出した言葉は

「く・や・し・い・よ」

でした。

成人した四人の子供に守られ、穏やかな年金暮らしを夢見てた母は、57歳で亡くなりました。

乳ガンのリスクを減らすためにできること

父は、母がガンにかかった時に、うなぎの肝を食べると治る、という民間療法をどこかから聞いてきて、藁をもすがる思いでうなぎを大量に買ってきました。
母のガン治療中に、入院している病院から、まだ日本では使われていない海外の新薬を使ってみないかというオファーもありました。さすがにそんな人体実験のような申し出は断りましたけれど。

今では25年前に比べれば様々な治療方法が生まれています。
喫煙率も減っているし、ネットでちょっと検索すれば、ガンにならないための食べ物や、様々な健康法が大量に紹介されています。

でも、ガンの発症率は増える一方。
乳がんの罹患率も、上昇する一方。

優秀な頭を持った医者たちは、抗がん剤は毒にしかならないとか、糖質はガンのえさだとか、個人的な主義・主張で、エラそうなご託をそれぞれに並べていますが、批判と自己主張だけで、なんの役にも立ちません。たまに主張する治療法と患者の病状がマッチして劇的に症状が回復すると、教祖様の如く信者が集まってきますが、結局万人に効くわけではない。

癌治療なんて、すべてがオカルト(秘学・神秘(的なこと)でカルト(儀礼・祭祀)みたいなもの。

乳ガン検診には行った方が良いとか、乳ガン検診に行くとガンになるとか、何が本当でなにがガセなのか、まったくわかりません。

それでも、早期発見によるガンからの生還率を考えたら、手遅れにならないように、乳ガン検診には行くべきではないかと思います。

女性にとって乳ガンは、命を失うかもしれないという恐怖とともに、

女性としてのシンボルである胸にメスを入れる悲しさ。
女性の命ともいわれる髪を失う辛さ。

という、男には理解できない痛みが伴います。

だから、乳がんの検診にもなかなか行きたがりません。
私の妻も、いくら促しても、叔母が乳がんで亡くなった時ですら、乳がん検診に行こうとしません。
それでも大切な人を失う痛みには変えられないから、乳ガンの検診に行くように、言い続けることしかできません。
それでも乳がんにかかってしまったら、癌と闘いながら、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めていくしかありません。

私は、母がガンになったとき、そして母を失ったときに、痛みや悲しみを感じないように、深いところで心を閉ざしてしまいました。一緒に戦い、一緒に乗り越えるということから逃げてしまいました。それ以来、心の底から笑うということができなくなってしまいました。

一緒にガンと向き合い続けた小林麻央さんと市川海老蔵さんには、この歳にして、愛の大切さを教わりました。

願わくば、もうガンに関わらずに生きていけますように。

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