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闇金よりもさらに悪質なヤミ金から、借りてないのに返済を迫られた話。

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「今すぐ10万円振り込んでください」

勤めていた会社にそんな電話がかかってきたのは、今から14年前のこと。
話を聞くと、どうやら父が借りているお金を代わりに返せといっている。
保証人になっているわけでもないし、そんなお金、返す理由がない。
そういって断ると、「じゃあ、今すぐ会社の電話回線ふさいでやる」といって電話を切られ、直後に電話が鳴り始め、4本あった会社の電話回線がすべて点灯。
電話に出ると、「払うまで止めないよ」といってくる。他の電話は鳴りっぱなし。
当時勤めていた会社は、20代の頃お世話になった先輩のCD(クリエイティブディレクター)が立ち上げた、社員4人の小さな会社で、コピーライターのアルバイト扱いで席を置かせてもらっていました。
社長に相談すると、オレが話をつけてやるというので、電話を変わってもらうことに。
色々と説得してくれたのですが、なにを話しても、「払え」といってくるだけ。
電話を切らずに、そのまま警察に電話をして事情を話し、受話器越しに恐喝の言葉を聞かせたのですが、相手が特定できないし、民事だから警察はなにもできないといわれてしまいました。
社長の対応は結局火に油を注ぐことになり、恐喝相手は、同じビルに入っている他の会社に悪評を流すとか、今から50人前の寿司を届けてやるとか、消防車を何十台も呼んでやるなど、さらに話をエスカレートさせてきます。
警察に相談しても、
「やると思いますが、警察ではなにもできません。寿司に関しては、お寿司屋さんの方で被害届を出すことになるので、もし届いても、頼んでないと言ってください。」
「家まで取り立てに来ることはないですよ。来たら本人が特定できるのでラッキーですね。」
「警察としては、一応そういう通報があったということだけ記録に取らせていただきます。」

結局、利息分の1万円を入金するということで、その日は一端おさまりましました。

ほとんど縁を切っていた年金暮らしの父の元へ訪ねていき、どういうことなのか問いただすと、どうやらケガをして1ヶ月ほど入院していたらしいのですが、病院に払うお金がなくて、子供に迷惑かけたくなかったから、無審査のサラ金(=ヤミ金)の新聞広告を見て、電話をかけたのだとか。すべてのやりとりは携帯電話で、聞かれるがままに個人情報を伝えると(私の家や勤め先の電話番号まで伝えていました)、その後3万円が銀行に振り込まれたそうです。支払いは月1.5万円の3回払いという暴利。払い終えると、信用が付いたからといって、さらに多い金額が振り込まれ、支払う額も増えていきます。それだけでなく、さらに別の所からも融資するという電話がかかってきて、勝手に3万円が振り込まれ、催促される・・・。どこからいくら、何件借りているのか、まったく分からなくなっていました。

そのまま父を連れて弁護士事務所に駆け込み、事情を相談。まずは利用先のヤミ金のケータイ番号を聞かれたのですが、8件の番号からお金を借りていることになっていました。もちろん内訳はまったく分かりませんが、大体の借入残額を伝えます。とはいっても暴利のため、基本的には払い終わっているはずなのですが。
弁護士事務所も慣れたもので、同じ被害に遭って相談に来ている人がたくさんいるらしく、ある程度ケータイ番号を聞けば素性がわかるものもあるとのこと。
まずはケータイ番号の素性がわかる相手に、弁護士が代理人として入ったことを伝える。
そうすると、他の番号も元を辿れば素性は同じなので、全部のヤミ金業者に伝わる。弁護士が入ると面倒なので、大抵は手を引くそうなのですが、中には手を引かないヤミ金業者もあるそうです。

弁護士と契約した翌日、いよいよ家にヤミ金業者から電話がかかってきて、近所に言いふらすとか、消防車を呼ぶと言ってきました。弁護士の対応がまだ間に合ってない様子。あらためて警察に電話をしたのですが、やっぱり取り合ってくれません。どうにも仕方がないので、弁護士にアドバイスを受けたとおり電話線を抜いて繋がらないようにして、さらに電話番号を変更。連絡が取れなければ請求できないので、嫌がらせをしてもムダなのであきらめるとのこと。会社にもかかってこなくなり、なんとか騒動は収まりました。父も電話番号を変えて以降、なにも起こらなかったようです。

・・・と思ったのが、甘かった。

最後の嫌がらせが待っていました。

週末、小学一年生の息子を連れて公園に遊びに行き、家に帰ってきたところ、担任の先生が家に訪ねてきていました。

「お子さん、無事なんですね。よかった。」

何のことかまったくわからなかったのですが、私の名前を騙って、子供がいなくなったと、小学校に電話がかかってきたそうです。驚いて先生が家まで訪ねてきたとのこと。

悪質にもほどがある。

そんな電話かけてくるなんて、タイミング的に間違いなくヤミ金業者の嫌がらせなのですが、いよいよ第三者の学校まで巻き込んでしまったため、これは事件性が高いだろうと思い、先生から警察に電話をしてもらいました。それでも警察は、電話がかかってきたことを記録に残すだけで、後は何もできないといってきました。

警察なんて、一時停止違反やシートベルト未装着程度のつまらない違反を取り締まるだけで、こっちが困ったときには、何の役にも立ちません。

 

しばらくの間は、たまに仰々しい督促状が届いて、借りてないお金を返せとか、塗りの箱に入った電報で、連絡しないと裁判を起こすと言った脅迫が届くことがありましたが、弁護士に相談したところ、連絡をするとまた狙われるので、全部スルーするようにと言われ、事なきを得ました。

おかげで私も父も、取り立てに追われることはなくなりました。

 

ちょうど同じ頃、老夫婦が自殺に追い込まれたり、横浜市の消費生活センターで違法なサラ金の広告を一枚1円で買い取ったり、連日メディアが報道することによって、ヤミ金業者が社会問題になり、ようやく警察が重い腰を上げ、ヤミ金業者ネットワークが芋づる式に検挙され、逮捕がそのトップに及んだことで、一般的な消費者がヤミ金被害に遭うことは、ほとんどなくなりました。やればできるのにやらない警察も、ヤミ金同様ヤミに包まれています。

その後にオレオレ詐欺が流行することになるのですが。

 

電話一本で、あらゆる詐欺被害にあうことができる今日。

どんなに困っても、怪しいところからは借りない。
素性のわからない会社には、絶対に個人情報は漏らさない。
できることなら、お金は借りない。

そんなふうに生きていきたいものです。

自動車ローンに住宅ローン、教育費まで、50歳になっても、まったくお金の帳尻があうことはないのですが。

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