東京以外、全部地方。営業マンじゃない視点から見た、都会の営業と地方の営業。
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わたしは営業が苦手です
職業:コピーライターの私は、営業という仕事を、一度だけ、一日だけしかやったことがありません。
会社が解散してしまい、その会社が失業保険に入ってなかったので収入ストップ。次の職場がなかなか見つからず、生まれたばかりの子どもを抱えた妻から「今日、お米を買うお金ないからね」という冷たい一言。
一時しのぎで週に3日、日雇いのバイトをやっていたのですが、今日お金をよこせという。
そこで、新聞の勧誘をやっている知り合いに頼んで、一日だけ働かせてもらうことにしました。
毎日新聞は年間契約で1万円。神奈川新聞は5千円。契約書と交換で現金払い。
背に腹は代えられず、マンションの上から下まで呼び鈴を鳴らして、ようやく神奈川新聞を1件成約。
で、妻に5千円をたたきつけ、日雇いのバイトに出勤。
1ヶ月くらいで、広告代理店に就職できたのですが、営業らしいことをやったのは、後にも先にもその1日だけ。
3日やったら胃に穴が開くと思いました。
以来、営業ってすごいなぁといつも思っています。
そんな私が、神奈川&東京で働いた経験から、都会の営業と地方の営業の違いを客観的に分析してみたいと思います。
仕事の速度と密度が違う
元々横浜のカーディーラーでコピーライターをやっていたのですが、とってものんびりしていました。
「電車で30分くらいの距離だけど、東京と横浜じゃ時間の速度が違うね」
と先輩から話を聞かされていましたが、そこしか知らない私は、その意味がよくわかりませんでした。
その後、東京の広告プロダクションへ転職。
仕事の速度も、密度も、体感として、横浜で働いていたときの10倍くらい違いました。
横浜で働いていたときは、たいてい定時で退社。残業が20時間を超えると、上司が呼び出しを食らって、さらに上から怒られていました。
東京の広告プロダクションは、早く帰れて終電。会社に泊まってばかりいられないので、週に1回はカプセルホテルにお世話になったり、東京から横浜へ、深夜に1万円以上かけてタクシーで帰宅することもありました。
横浜で働いていたときは、ルーチンワークをメインに、ある程度自分のペースで仕事をこなし、締め切りに追われることもありませんでした。
東京では、終電間際に連絡があって、「明日の朝までにお願い」なんていう仕事も日常茶飯事。
今から25年ほど前のことですが、いまでも事情はあまり変わっていません。
電通がブラック企業といわれていますが、短納期で膨大な量の仕事が入ってくることが当たり前の世界。速度と密度と品質を満たさなければ、生き残っていけないのです。
東京の営業
速度と密度と精度が重要なので、営業にも仕事の処理速度と精度が求められます。
さらに、営業に応対するお客様の担当窓口が、決定権者ではないことがほとんど。
どんなに担当者に気に入られても、いったん社内で検討をして返事をすると言われる。
そうなると、担当者同士が仲良くなったところで、仕事が発生するわけではない。
仕事が発生しても、相見積もりをとられ、コンペをさせられ、予算と効率重視で発注が決まります。
そこでは、無駄なく、そつなく、スピーディに伝えたことを遂行できる営業が重宝します。
地方の営業
地方は基本、ムラ社会。
田舎者の集まりを企業として成立させなければいけないが故に合理的なシステムに縛られている東京とは違い、往々にして社長の気質が会社の風土。
東京に比べて社長が近いので、いかにして社長に気に入られるかが営業のキモだったりします。
東京でも同様なのですが、地方に比べると社長が遠すぎて、なかなかたどり着けません。
そこでは、かなりの確率で、なぁなぁで仕事が進んでいきます。
スケジュールや段取りが無視されたり、内容がころころ変わったり、4ページのパンフレットを作るのに何年もかかったり。
社長の気まぐれオーダーをこなさなければいけないのですが、逆に決定権者と直接やりとりできるので、一度把握すれば仕事をこなしやすい。
さらには社長のキャパシティを超えた仕事は発生しないので、1社からの受注だけで仕事がパンクしにくい。
一時にいられたら、かなり長い付き合いができるというメリットもあります。
というわけで、大阪に本社がある広告代理店の東京支社や、神奈川と東京の仕事をうけている広告代理店で仕事をした経験から、大阪と東京、神奈川と東京では、営業に求められるスキルがまったく違いました。
関西弁でグイグイ距離を詰めていく大阪のトップ営業マン(社長)を、東京の会社の担当者から二度と連れてくるなと言われたり、神奈川の会社を回っている営業にスケジュールをきくと、お客さんを縛れないから、向こうのペースでやる、と言われたり。
営業って、ほんとに大変な仕事です。
営業にならなくて、よかった。