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広告の企画書・プレゼン初心者へ。勝率を上げるための5つのコツ。

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プレゼンはオール・オア・ナッシング。

私は現在、小さな広告代理店のクリエイティブディレクター&コピーライターとして広告を制作していますが、もともとは机に向かって黙々と広告文案を書いていた職人気質のコピーライターだったので、プレゼンテーションはあまり得意ではありませんでした。

ところが広告代理店で仕事をしていると、当然ながらプレゼンは必須のスキル。今では月に平均して4~5本はプレゼンを行うようになっています。

かつては大きなプロモーションや、新しい切り口が求められるイメージポスター、ボリュームのあるカタログといった、予算の大きい案件がプレゼンで競われていたのですが、最近ではチラシやリーフレット、年賀状までがプレゼンで争われ、数万円の仕事ですら、プレゼンで勝たなければ受注できなくなっています。

かつては案件に応じて支払われていたプレゼンフィー(提案料)も、いまでは0円。

さらに広告企画は、企画書に付随して、実際の制作物までを作り込むことになるので、そう簡単に提案できるものではありません。

大学の学校案内などもプレゼンで入ってくるのですが、50ページ以上のボリュームの冊子を、フルカンプ(デザイン&コピーをすべて反映したもの)で提出という条件を出してくる大学もあります。プレゼンに勝てなかったら、その仕事0円。
タダ働きになってしまうわけで、1本でも多くプレゼンに勝つことが、大きな職務となります。
 
安いプレゼンは断れば良いのですが、なかなかそれができないのが、広告業界の厳しい現状なのです。

ほとんどのコピーライターは企画書を作れません。

以前勤めていた大手広告プロダクションでは、50人以上のコピーライターがいたのですが、企画書を作ったことがある人が2人しかいませんでした。

企画書は、広告代理店のクリエイティブディレクターが作るか、広告代理店の営業が作った企画書の後ろにカンプ(デザイン案)を整理して加えるだけの作業がほとんど。

クライアントと直接やりとりをしている広告代理店に入らないと、企画書を作ったり、プレゼンしたりする機会は、なかなか巡ってきません。

しかも今となっては、コピーライターに企画書制作のノウハウを教えられるクリエイティブディレクターも絶滅状態。
広告プロダクションでコピーライターをやっていて、突然プレゼンの仕事が入ってきて、途方に暮れたことがある人もいるのではないでしょうか。

かつて私がそうでした。でも私の場合は、企画書の作り方を教えてくれるクリエイティブディレクターがいたので、教わりながら作っていましたが、それでもそこそこ作れるようになるまでに、かなりの年月を費やすことになりました。

そして、誰もスティーブ・ジョブズにはなれません。

プレゼンテーションを学ぼうとして本を読むと、例外なくスティーブ・ジョブズのプレゼンがお手本のように取り上げられています。

でも、誰もがあんなプレゼンテーションができるわけがないし、見習おうとしてもムリです。

凡人が天才のマネをしても、ボロが出るだけだし、そもそも商品開発から関わっていないとあのパフォーマンスは無理です。

ネットでも、さまざまなノウハウが紹介されていますが、なかなかスグには実践できませんよね。

私は、ネットやHow To本に書いてあることの半分もやりません。

さまざまな演出でプレゼンテーションを魅力的に見せることもやりません。

プレゼンは受注仕事の作業の合間に準備するので、時間をかけることができません。

そこに全力を注いでも、ムダになることが多いから。

それでも、現在はなんとか5割近い勝率でプレゼンを受注できています。

プレゼンに勝つことと、プレゼンテクニックは、あまり関係ありません。

TEDで見られる魅力的なプレゼンは、ほとんどの人がリアルな仕事で必要としているスキルと別物です。

そもそも40〜50人の前でプレゼンテーションをすることなんて滅多にありません。

たまにあるのですが、さすがにそういうときは全力で準備します。

それよりも、日常的な仕事で発生するプレゼン(提案)において、高確率でクライアントから受注を取り付けるためのスキルの方が大事です。

人前で話すことが苦手でも、演出なんてできなくても、プレゼンに勝つ方法はあります。

そういうわけで、私がプレゼンに勝つために心がけていることを、5つにまとめてみました。

なかなか全部をこなすのは難しいし、すべてをクリアしても、勝てないときは勝てません。

それでも、勝率を上げるためには、最低限必要なことだと思っています。
ぜひ参考にしてみてください。

プレゼンのコツ 1
相手にとってのメリットを伝えること

とにかくこれを伝えることがプレゼンの唯一の目的です。

広告のプレゼンでは、まずオリエンテーションというものがあって、広告目的が提示されます。その広告目的を、どうすればクリアできるかを、プレゼンでは筋道立てて説明することになります。

ところがともすると、市場調査、ターゲットの設定、競合分析、差別化のポイント…といったバックグラウンドの説明が延々と続き、核心になかなかたどり着かず、一番伝えたいことを話す頃には、相手はすっかり話に飽きてしまっていたりします。

また、制作物のクオリティや、媒体の斬新さといった、提案物に対する良さを一生懸命伝えようとするがために、広告目的を見失うこともよくあります。

プロモーションの企画にしても、制作物の提案にしても、システム導入の提案にしても、そのプロモーションがどれだけ斬新で、制作物がどれだけ新しく、システムがどれだけ優れているかということが大切なのではなく、それによってどれだけ集客できるのか、どれだけ差別化できるのか、どれだけ作業効率がアップして生産性が上がるのか、という相手にとってのメリットを提示すること。

“確実に集客効果があがります”

“サービスの利用者が増加します”

“商品の知名度がアップします”

“あなたの仕事が10分の1ですみます”

それが、プレゼンで伝えることのすべてです。

プレゼンのコツ 2
提案に自信を持つ

グダグダのプレゼンになってしまう、その一番の理由は、提案の内容に自信がないから。

“このくらいでいいだろう”と、少しでも準備に手を抜くと、それはプレゼンに現れてしまいます。

逆に、絶対にビジネスパートナーになりたいという思いで、相手のことを真剣に考え抜いた上でプレゼンテーションに望めば、プレゼンスキルが低くても、その気持ちは確実に伝わります。

冒頭で、“オール・オア・ナッシング”と書きましたが、相手のことを真剣に考えているということが伝わると、そのプレゼンでは提案力が及ばずに負けてしまっても、次の仕事で声をかけてもらえることもあります。

“ナッシング”にしないためにも、相手の求めている答えに対して、自信を持って提案できるまで、必死に考え抜きましょう。

プレゼンのコツ 3
リハーサルをやる

企画書をそのまま読むだけではプレゼンとして不完全。

自分一人でも良いので、企画書に沿ってプレゼンテーションをしてみます。

そして、どんな言葉を足して説明すれば、より分かりやすく伝えられるかを考え、企画書にメモをしていきます。

それでもいいよどんでしまったり、説明しにくいと思った場所は、そのままでは相手に伝わりにくいわけで、企画書と口頭での説明がスムーズにリンクするまで、内容を調整していきます。

それと同時に、相手からの質問やツッコミも、リハーサルの時点で想定しておきます。

プレゼンの場では、想定外の質問をされると、かなりテンパります。たいていの質問に対応できるように、答えを準備しておくことが大切。

相手の質問に対して即答することで、信頼度は大きく変わります。

プレゼンのコツ 4
人に向かって話す

人に向かって話すなんて、めちゃくちゃ当たり前なのですが、説明に一生懸命になると、一方的に話をしてしまい、相手がいることをつい忘れてしまいがちです。

しかも、相手が複数人いると、誰に話しているのかわからなくなってきます。

会場全体を見渡して、とか、一人一人をきちんと見て・・・なんていうことができるのは、かなりハイレベルなプレゼンスキル。
そこまで上手く気を回せるなら、それなりにプレゼン慣れしているわけで、それができないのなら、目の前に何人いても、たった一人の人に伝えるようにすることです。

では、誰に向けてプレゼンをするのか。

事前のオリエンや、名刺交換の際に、決定権者や、その場で一番力を持っている人は大体わかるはずです。プレゼンの際には、その人だけに向けて、その人の反応に合わせて話しましょう。

提案した後の質疑応答で、その人から質問があれば、プレゼンに込めた思いは、きちんと伝わっているはずです。

 

プレゼンのコツ 5
対等の立場で話をする

相手から仕事をもらいたいが故に、どうしてもへりくだって、下から目線で様子をうかがうように、プレゼンをしてしまいがちです。

でも、そもそも時間をかけて、相手のことを真剣に考えアイデアを練って、しかも無料で提案しているワケなので、ありがたがってもらいこそすれ、それ以外のことを思われたり、言われたりする筋合いはありません。

ところが、勘違いしているクライアントは、プレゼンにダメ出しをしたり、もう1回考えてこいとプレゼンに対して何度も修正を要求してくることがあります。

仕事を発注してもらっていないうちは、客でも何でもなく、ぶしつけな要求をされる筋合いはまったくありません。

そういったクライアントは、大抵やるだけやらせておいて結局既存の業者に仕事を出してしまったり、仕事をやったんだからといって、価格から対応まで、無茶苦茶なことを要求してくるモンスター・クライアントになります。

経験上、間違いありません。

きちんとしたクライアントは、フェアなジャッジをしてくれます。

仕事を発注してくれる際に、主従関係が生まれるのではなく、求めていた課題への解決策に対して、感謝してもらえ、パートナーとして迎えてくれます。

もちろん、こちらも相手に対して礼を尽くすことは必須ですが、ムダに日和る必要はまったくありません。

勝率を上げることと同時に、お金にならないクライアントを見極めることも大切なスキルです。

 

とはいっても、プレゼンってみずもの。

プレゼンをしているときに反応が悪くて落としたと思っていたら受注できたり、プレゼンで大絶賛だったのに落としてしまったり。

当然競合も同じように、真剣に考えて提案をしてくるので、なかなか結果をコントロールすることはできません。

でも、相手にとって最善の策を誠実に提案することで、プレゼンを落としても、次のチャンスをもらえる可能性が強まることは間違いありません。

そして、次の機会に自分のクライアントにすることができれば、プレゼンはムダにならないのです。

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