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校正できなければコピーライターではない。ミスがあったら広告ではない。

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校正に対する心構え

人は、必ず「間違える」生き物です。

書き間違い、打ち間違い、見間違い、指示間違い、思い込み、慣れ、忙しさ、時間のなさ、焦り、気のゆるみ、面倒くさがり、楽観視、いい加減、プライド、人任せ…これらはすべて校正時にマイナス要素として働きます。
体調を崩し、いつもより集中力が欠けただけで、普段なら気づくはずのミスを見逃してしまうこともあります。
二日酔いの校正ほど、地獄の苦しみを味わうことはありません。

睡眠をたっぷり取ってやる気満点、集中力もバッチリ!

それでもミスを犯すのが人間です。

個人的な発行物なら誤植があっても本人の恥で済みます。
ブログがいい例。私のブログも誤字・脱字だらけ。

ところが広告制作においては「人間だから仕方がない」では済まされません。

プロとして仕事を請け負ったからには、100%ミスをしてはいけないのです。

複数人で詳細にチェックしても気づきにくいミスはいくらでもあるので、制作現場からミスの発生を100%なくすのは難しいものです。

だからこそコピーライターは、見逃しやすい注意ポイントにも「気づく」直感力と洞察力、そして実際に即した確かな校正スキルを身につけて、絶対に間違いを見逃さないようにしなければいけません。

・常に、<ことば>と<情報>に敏感になること
・「きっと合っているだろう」「クライアントの担当者も見ているし、大丈夫なはず…」という思い込みがミスの発生原因
・校正は時間をかけて、じっくりと取りかかる。校正の時間を確保できるスケジュールを立てる。

校正を完璧に行えてはじめて、広告づくりの“プロ”といえるのです。

広告に校正が必要な理由

こうせい【校正】
①くらべ合わせて、文字の誤りを正すこと。きょうせい。
②校正刷りと原稿とを照合するなどして文字や内容の誤りを正し、体裁を整えること。版下や原画との照合についてもいう。(大辞林 第三版より)

すべての広告制作は「校正」がセットでついてきます。ただの一度も校正なしで完成する広告はありません。

新聞折込チラシに、URLや電話番号の間違いがあったとします。実際につくってミスを冒したのはコピーライターだとしても、チラシにはクライアントの情報しか書いてありません。

「問い合わせをしたいのに、つながらなくて連絡不能。せっかく買おうと思ったのに…」

電話番号を間違えた場合は、さらに電話をかけるユーザーだけではなく、間違えられた電話番号を使う家庭にも迷惑をかけることになります。

たったひとつのミスが、クライアントの信用や好感度・ブランドイメージを落とす要因となり、クライアントからの自分の信用も落とすことになってしまいます。

さらなる大きな代償を払わなければならなくなるケースも少なくありません。

校正ミスの代償

ミスを犯した場合、広告代理店や広告制作会社といった広告制作側には、様々なペナルティが科せられます。

1 物品で賠償

納期を遅らせてもかまわない物に関しては、ミス部分を修正したものを再納品したり、ミス部分に訂正シールを貼ったり正誤表を差し込んで納品します。

2 代金値引き

ミスを直さずそのまま発行・納品し、クライアントへは値引きをもって償います。
新聞折込チラシは、折込日が決まっているため、納期を延ばすことができません。印刷後の早い段階で気づけば折り込みを中止することはできますが、配布してからミスに気づく場合の方が多く、各家庭から回収するのは不可能なので、値引きという対応を取ることになります。

3 代金支払い拒否

クライアントから制作・印刷にかかった費用を支払わないと言われることもあります。

4 ミス発生により生じた費用の全額~一定額を負担

値段表示のミスによりクライアントが受けた損害金や電話番号のミスにより、ミス先で電話が鳴り続けることに対する慰謝料・クライアントが受けた損害の賠償など、場合によっては広告制作費以上の費用を請求されることもあります。

5 今後の取引中止

「仕事を切られる」という最悪のパターン。
ミスの大小を問わず、クライアントの意志や方針によって、軽度のミスでも切られることがあります。

これらの例のうち、一つの対応を取ればよい時もあれば、複数を組み合わせて対応せざるを得ないこともあります。いずれにしても金銭的損害は莫大です。例え直接の金銭負担が少なくても、クライアントに今後の取引を切られるようなことがあれば、企業経営に深刻なダメージを与えてしまうこともあります。

言葉のミスはコピーライターの責任

ネット中心で広告が展開されるようになってから、いつでも簡単に修正がおこなえるため、校正に対する重要性が薄れてきています。
しかも間違った情報に対してユーザーがアクションを起こしても、企業側で十分な担保をせずに済ますケースがほとんど。
例えば家電量販店のチラシで商品価格を間違えて安く表記してしまったら、その値段で売らなければいけないのだけれど、ネット通販で価格を安く間違えて大量注文を受けてしまっても、その価格で売ることはありません。
企業イメージはダウンしますが、謝罪してクーポンのひとつも付けて終わりというのが関の山。

言葉に対する責任は、圧倒的に薄れてきています。

どんなにターゲットに刺さるコピーを書いても、会社名・店舗名・商品名・電話番号・金額表示・日時・曜日・人名・地名など、根幹をなす部分を間違えてしまった広告は、もはや広告としての機能を果たすことはありません。

広告の目的を叶えることのない広告を、作ることがないように。

コピーライターにとって、校正の重要性はいつの時代も変わりなく、重要項目のひとつなのです。

校正の実作業

文字校正

文字校正は、文字に関するあらゆるすべてをチェックするもので、誤字・脱字・誤植に限らず、文字の重なりやフォントの大きさなどのレイアウトに関することから、地名や企業名などの固有名詞、電話番号、年月日、日時、ノンブル数(ページ数)、英語のスペルなども広告物上に表記されたものすべてがチェックの対象となります。また広義の意味では、「てにをは」など日本語の文章表記や原稿自体の内容をチェックする校閲作業も校正の範疇とみなされ、広告内容すべてが正しいかをチェックしていきます。 色校正 色校正は、本刷り前の再確認として「色を見る」ことが主目的の校正で、略して「色校」と呼ばれます。色が正しく表現されているかどうか、色味を見ることが中心になりますが、文字化けや画像・罫線の欠け、トンボの正確さなど、印刷してみなければ気付かないポイントを確認することも重要です。

文字校正の方法

校正の対象となる原稿の内容や校正のタイミング、シチュエーションによって、文字校正のやり方は、大きく3つに分けられます。原稿とカンプの見比べ、誤植がないかを確認していく「照らし合わせ」を主に、場合に応じて「素読み」や「読み合わせ」を使い分けます。
素読みの時を原稿を文章として読まないように、文字列や記号として見なし原稿と突き合わせていくと誤植に気づきやすい。
照らし合わせ クライアントからの完全原稿をもらって、それをレイアウトに流し込んだだけの時も含め、文字校正を行う時は、必ず「元原稿と照らし合わせ」をしながらチェックしていきます。
校正時に原稿を読んでしまうと、ミスを読み飛ばしてしまいがちです。文字列や記号として見なして原稿と突き合わせ、マーカーで一文字ずつ潰していくていくとミスを見落としにくくなります。
文章として読まないように、後ろから校正をするという方法もあります。
素読み
元の原稿がエッセーや紀行文、日記、自分自身で書いた文章などの場合、原稿と照らし合わせずに文字校正をすることを「素読み」といいます。
誤字・脱字や変換ミス、統一表記や文法の間違いを見つけることが主な目的です。
文章読解能力があれば誰でもできますが、人名や地名など間違いやすい部分は必ず原稿と照らし合わせ、それでも不明な場合は、必ず辞書や事典などを使って調べるようにします。

読み合わせ

一人が原稿をゆっくり読み、もう一人がそれを聞きながら校正紙をチェックしていく方法を読み合わせといいます。価格表の入った商品カタログや電話番号一覧、時刻表など、数字や記号が多い場合はどうしても見落としてしまいがちです。声で読み上げることで、一文字一文字を確実に照らし合わせることができるとともに、「てにをは」の間違いや文章のスムーズさもチェックできます。

校正のルール

校正は、JIS(日本工業規格)に定められた「校正記号・併用記号」を使いながら、いくつかの決まりに従って行うことが、編集・出版・広告関係共通のルールとなっています。

修正指示の基本

・赤鉛筆や赤ボールペンなど、赤い筆記具を使って書き込む
・JIS で定められた校正記号を使い、補足として文章で指示する
・校正の指示は、誰にでもわかるような字で書く
・誤字を修正する場合は、略字や行書は使わず、楷書で書く
・小さい字では読めないので、大きくはっきりと記入する

引き出し線の入れ方

文字や記号を修正する場合、誤字をきちんと消したり、該当部分を丸で囲んで目立たせ、そこから訂正のための線を引き出します。 引出線は訂正箇所から近い、記入スペースがある余白に向けて引き出し、そこに校正記号や修正内容、差替原稿の文章などを書き入れるようにします。 引き出し線はなるべく短く、かつ、交差しないように。交差してしまうと、どれがどの指定かわからなくなり、新たなミスを引き起こします。
(校正のまずい例) 引き出し線が交差していて、どこがどこを指しているのかわかりにくい例。

校正記号

校正には校正用の記号を使います。カタカナを多用するのは、校正の指示と修正文字とを区別するためです。赤字を修正する際には、記号の意味を知っておく必要があります。

(校正の特殊な指示例)
トルツメ:文字や記号を取って、そのスペースを詰める

トルママ:文字や記号を取って、そのスペースをそのままにしておく

ママイキ:修正指示を入れたけれど、取り消す場合

他にも様々な校正記号や修正指示の入れ方がありますが、基本的には校正で入れられた赤字を見て、デザイナーが正しく修正できれば良いので、すべてを覚える必要はありません。

文字校正の流れ

文字校正は通常、以下の流れで行います。

文字を入力した時点で、プリントアウトして確認【文字校正】

画面上だけのチェックでは絶対に見落とすので、文字校正は必ずプリントアウトして行います。
ミスをなくすためには、最初に文字入力をした時点で、しっかりと校正をしておくことが必要です。
最初に見落としたミスに限って、最後まで見つけられないものです。

レイアウト・デザインに落とし込んだ時点で確認【文字校正】

入れる原稿を間違えたり、テキストボックスから文字がはみ出して一行丸ごと消えていたり、デザイナーは100%ミスをします。
初校はもちろん、再校、念校…入稿まで、追加修正が入るたびに必ず校正をしてからクライアントに戻します。

印刷会社への入稿前の最終確認【下版前最終校正】

入稿あるいはデータ納品してしまうと基本的に修正はできないので、念には念を入れて最終校正を行います。特に校 正戻しで修正の指示を受けた箇所に間違いはないか、最後に直した部分が正しくなっているかなどを重点的にチェック。 校了から入稿までのスケジュールがタイトな場合、ページ物等、ボリュームがある仕事の場合等は、校了の前の段階で、ほぼクライアントから修正が入らないであろうタイミングで、事前に校正を済ませておおきましょう。

どの段階においても、一度入れた赤字(修正すべき箇所)が完全に直っているかどうか、また、その前の校正で見逃していた部分がないか、といった「確認作業」と「繰り返し」が重要です。
「一度見たから大丈夫」という過信が、ミスを生む最大の要因となります。

校正時の必需品

照らし合わせる元原稿、クライアントから戻って来た校正紙、メールなど

メールでの原稿の支給や修正等の際は、添付ファイルだけでなく、修正指示をしてくる場合があるので、本文までを出力して管理するようにします。

筆記用具

赤鉛筆、赤ボールペンなど、校正を書き込むためのペン 蛍光ペンなど、校正を直した部分をチェックするためのペンです。

付箋

ページ数や文字数が多い印刷物の場合、直すべき箇所を見つけることが難しい場合があります。その際には、直 しの指示を入れたページや該当部分のそばに付箋を貼り、修正部分を見つけやすくします。
また、校正紙に赤字が書ききれなくなった時に使うこともあります。
その際に、付箋がはがれてしまうと赤字がわからなくなってしまうので、テープで貼ったりしてはがれないようにすることも必要です。

広めの机・整理整頓された身の回り

校正を行うタイミングや校正対象の文字量、印刷媒体の種類にもよりますが照らし合わせるモトとなる原稿はかなりの枚数に上ります。情報誌や冊子ものなど入念に校正しなければいけないものの場合、そのすべてに目を通さなければならないことも。
机が狭かったり、資料が乱雑に散らかっていたりしたら、スムーズな校正は行えません。元原稿の紛失を予防するためにも、整理整頓された広めの机で作業を行いましょう。

集中力

気持ちが散漫な状態では、句読点の抜けや数値の間違いなど、微細なミスに気づけません。自分の席とは別の場所で気分を一新したり、定期的に体を動かしたりして、集中力の低下を防ぎましょう。

チェックポイントとテクニック

実務に役立つ「文字校正のテクニック」を、チェックポイントとあわせて紹介します。

絶対に間違えてはならない重要項目

下記に挙げた事項は、どのような印刷物でも間違えると大問題になる最重要チェックポイントです。

名称

企業名/ブランド名/事業所・オフィス・部署名等/個人名とその役職名・敬称/その他の名称

連絡先

電話番号/FAX番号/住所・郵便番号/電子メールアドレス/サイトURLとその表記

商品情報

商品名・品番/価格/バーコード/原材料名・スペックなど/注意事項/ロゴ/その他

法律やクライアントの社内規約に決められた事項

広告表記に関する法律にのっとっているか。
クライアント側で独自に定めている表現に関するルール(誇大表現に当たる言葉は使わないなど)に触れていないか。

英語・外国語

スペル・文法・キャッチフレーズ

日時

年月日・曜日・時刻・六曜・年号・西暦

数字・固有名詞

数字・小数点の位置・桁数・単位・地名・イベント名・慣用句の誤用・書名など

間違えやすい文字と、誤変換・誤入力

文字の間違いを確実に発見するためには、校正紙の文字を漠然と読むのではなく、「間違いがないワケがない。間違いを見つけてやろう」と疑いながら読む姿勢を持つことが重要です。
また「危機一髪」を「危機一発」、「一堂に会する」を「一同に会する」といったように、慣用句や熟語を間違えて覚えていることも少なくないので、怪しいと思ったらすぐに調べる癖をつけましょう。

間違えやすい文字や漢字・熟語・語句一覧

◇字のかたちが似ているもの
カタカナ同士

ソと ン ツと シ ウと ワと ク エと ユとコ

ひらがな同士

うと ら はと ほ めと ぬと ね

カタカナとひらがな

ヘと へ リと り

数字と英字、英字と英字など

1とI 0とO  5 とS 12 とに 13 とB  R とP とB  I(i の大文字)と l(L の小文字)

漢字同士

大と 丈 石と 右 未と 末 剖と 部 壁と 璧 宣と 宜 塔と 捨 爪と 瓜 徹と 撤 拳と 挙
紋と 絞 金と 全 敵と 適 血と 皿 除と 徐 洒(洒落)と 酒

その他

漢字の 一と ー(音引き)と -(マイナス、全角ハイフン) 漢字の 二とカタカナの ニ

◇同音・同訓異議語、異体字・および同じ読み方をすることばの誤変換、誤入力を必ず正す
同音異議語

想像力・創造力 講演会・後援会 追求・追及・追究 配布・配付 返信・変身 意外・以外

同訓異議語

生かす・活かす 変える・代える・換える・替える 捕らえる・捉える

異体字

沢・澤 壺・壷 国学院・國學院 島本・嶋本

誤変換

見栄を張る・見栄を貼る・三重を張る 今日は・強は 人・非と よい週末を・よい終末を

誤入力

待つ・持つ きゅうり・きょうり トレイ・トイレ こんにちは・こんいちは

その他

[正]Xmas X マス・[誤]X’mas  [正]シミュレーション・[誤]「シュミレーション」(simulation)

キーボード入力ではこの種のミスがつきものですが、自分自身で校正しているとなかなか気づきにくいものです。
時には、首をかしげるような誤変換・誤入力も起こるので、打つ時から気を使って見ていく必要があります。
読み方が違うものに関しては、打ち間違える可能性は少ないと思いますが、見た目が似ているので元原稿を読み取る時に見間違えて打ち込んでしまう怖れもあるので注意が必要です。
 

校正は”文字すべて”が対象

校正の対象は本文だけではありません。
キャッチコピー、見出し、ルビ、クレジット、キャンペーンコード、注意事項などなど。
本文以外のこれらも、もちろん校正の対象の範囲です。
見出しや章番号などは、大ざっぱにまとめて読んでしまうので見落としがちです。
キャッチコピーなんて一番目立つところを間違えるはずがないと思いますが、大きい文字ほど見落としやすいもの。 また、デザインの一部となっている文字は「図形」と認識してしまいがちなので要注意です。

校正の対象となる文字

・キャッチコピー/見出し/ルビ/クレジット表記(商標登録番号)/注意事項などの本文以外の内容
・バーコード/キャンペーンコード/チラシ等発行コード/希望小売価格/原材料などのスペック的要素
・章番号/見出し番号/ノンブル/発刊数/図や表の通しナンバーなど、編集・レイアウト上の数字部分
・写真の中の文字・数字/画像として作成したロゴ・タイトル・マーク・数字・外国語などすべての要素

修正箇所だけではなく、その前後も確認

「飴が降る」を「雨が降る」に直すように修正を入れたとします。直すのは「飴」の一語だけです。ところが直す際に誤ってそのままで良いはずの修正部分の前後をいじってしまい、次の校正出しで「雨降る」になっている場合があります。 修正が直ったかどうかを見る際は、訂正箇所および最低でもその前後3行もあわせてチェックしましょう。 またIllustratorには、文字詰めをする機能があって、文章全体を詰めることも、特定の語句・特定の一部分だけを詰めることもできます。
その詰め機能が原因で、語句の修正や文字サイズの変更を行った時に行間や文字間が勝手に変えられて、レイアウトが崩れることがあります。
このことからも、直接の修正箇所以外も問題がないかを見ておく必要があります。

特定の語句を直したら「同一語句すべて」を修正

同じ広告物の中で、同一語句の文字表記が違うのは、言葉は合っていてもミスになります。
用語・用字、数字表記などは基本的に統一しなければいけません。 例えば、クライアントからの校正戻しで、チラシの表面に書いてあった「下さい」という文字を「ください」に直すよう指示が入ったとします。
指示のある表面を修正して完了だと思っていても、「下さい」という表記は裏面にも使われていました。
「同じ名称・用語・漢字・文字などが出てくる場合は、特に指示がなくともすべて同じように修正する」のが校正のルールなので、それらをすべて修正する必要があります。 特にページものの制作は、全ページにわたって確認する必要があるので注意が必要です。

日時を記入して校正紙の管理・把握

何度もクライアントに校正出しを行い、やりとりをしていると膨大な量の校正紙が出ることになります。加えて、社内での内校分も合わせたら、ものすごいボリュームになります。
最終的に印刷に出す前に、それらをすべて照らし合わせて校正する必要があります。
校正紙には日時とバージョン(初校・二校・三校…)を書き込み、「いつの校正紙か」ということをわかるようにしておきましょう。クライアントに返却しなければならない校正紙は、きちんとコピーを残しておくことも忘れずに。

原稿による文字校正のポイント

原稿が「クライアントから渡され、社内で打ち込んだもの」か、「データで支給されたもの」か、「自分で新たに作成や編集したもの」かによってチェックポイントは変わります。
自分で文字を入力したものならミスは自分の責任になりますが、データとして渡された原稿にミスがあった場合は、その間違いを打ち込んだクライアントの責任になります。
また、文字量が多ければ必然的に校正時間は多く必要となり、量に比例してミス発生の確率も高くなります。

原稿の性質による文字校正のポイント

データとして支給された原稿 文字化けの有無をチェック

OSの違いやフォントの特性によって、文字化けが発生する確率が高いため、文字を打ち込まずにそのまま使えるデータであっても、Illustrator やテキストエディタ上にコピーした後は、間違いなく元原稿通りに表記されているか確認を取る必要があります。
機種依存文字や記号・英語など、文字化けを起こしやすいものもあるので、それらが含まれている時は特に注意します。

(例)
Windows の機種依存文字を使用した文章をMac で開き、手を加えず流し込んだ場合
元原稿: Ⅰ. 会社概要 ㈱フリーダム代表取締役社長髙山太郎 カンプ: ㈵会社概要á フリーダム代表取締役社長 山太郎

レイアウト的な要素を確認

レイアウトに使用するソフト・Illustrator では、テキストボックスという枠のようなものに文字をはめ込んで文字をレイアウトしていく方法が取られることが多いため、そのテキストボックスに文字が入りきらず、文章が尻切れトンボになっていることや文末の句読点が消えていることがあります。
コピー&ペーストをする際に、範囲指定をミスして、文頭部分の文字が消得てしまうということも、結構怒りがちなミスです。
文頭・文末に限らず、文章がすべて正しく入っているかを、きちんとチェックすることが肝心です。

データがない原稿

原稿の見間違い、見落としはないか、打ち間違いはないか 手書きの原稿を見ながら打ち込んでいると、どうしても入力ミスが多くなりがちです。長い文章だと、一行あるいは一段落、まるごと抜け落ちてしまうこともあります。
原稿を打ち込む時の注意力を高めることでミス発生を防ぐことが最も重要ですが、校正時に抜けがないかどうか確認することも大切です。

クライアントから支給された原稿に手書きのクセ字で読めないものや、インクのかすれ、字の潰れなどでよくわからない文字はないか

原稿に疑問点があれば校正出しの前に確認を取りましょう。できる限り解読する努力を行い、それでもわからな い場合は制作途中の段階でもクライアントに確認を取ること。相手側は「読める」と思ってその原稿を渡しているので、確認を取らずに間違ってしまうと、最後まで見つからない場合があります。また、見つかった場合もクライアントからミスの指摘をされることで、信頼が損なわれることも。原稿支給の仕事に関しては、疑問点・不明点のクライアントへの確認も大切な校正作業のひとつです。

原稿の内容は古くないか、年月日などの修正忘れや間違いなどはないか

以前に発行したパンフレットやチラシなどを原稿として渡された時に起こりがちです。文字はもちろん、掲載内容が広告作成時の時点でも正しいかどうかをチェックしなければいけません。 ・地図内の店舗:(閉店している場合がある) ・電話番号や電子メールアドレス・郵便番号:(もともと間違っていたり、変更されたりしている可能性あり) ・イベントなどの開催日時:(本来は平成16 年でも、原稿は15 年のまま…)など、文字要素全般。年が変わると日付は合っていても曜日が変わるので要注意です。 イチから作成・リライトした原稿

原稿の内容に関して、全面的にコピーライターに責任があるので、より確実に注意を払いながら校正する必要があります。

文章はおかしくないか、わかりやすいか、専門用語の間違いはないか

特定の業界・業種に詳しい人しか理解できない専門用語の多い広告を作らなければならないこともあります。下調べやクライアントからの資料の読み込みはもちろんですが、使い慣れない専門用語にはより気を配って確認をしましょう。特にカタカナの専門用語は読み間違えて覚えてしまいがちなので気を付けましょう。
また、コピーを書く際には、文章が意味不明だったり、内容が明らかに間違っていたり、誹謗中傷などで読者に不快感を与えるものなどであってはいけません。
わかりやすい文章であるか、また、広告全体がクライアントの希望を実現している表現になっているか、客観的に判断してチェックする必要があります。

どんな場合でも必ず確認する校正の最重要ポイント

「てにをは」の誤り 「私が好きな人」と「私を好きな人」とでは意味が変わってしまいます。 助詞の置き方によって意味が異なる場合は気付きやすいのですが、書き直したり修正を入れているうちに、文法的に誤用してしまうこともあります。一読して違和感を感じたら、一端戻って読み返すようにしましょう。

誤字、脱字、誤植

校正で発見すべき、最も基本的な事項です。「人間は必ずうっかりミスをするもの」だと考え、「絶対にうっかりミスがあるはず。だから見つけてやる!!」という心意気で目を皿のようにして校正にあたりましょう。日頃から、言葉や情報に関して興味を強く持っていると気付きやすくなります。

英数字や用語・用字・おくり仮名等の不統一がないか 特別な指示がない限り、数字の表記や英語の小文字大文字の違い、用語・用字などについて、本文中では統一して表記し、文章を美しく整えるよう慣習づけられている。原則としては、本文中に「母さん」と「かあさん」が並んで表記されていてはいけない、ということだ。しかし、文字量が多いとつい読み飛ばしてしまい、統一が図りにくくなるので要注意。

情報そのもの間違い・カンチガイはないか(校閲作業)

思い込みから、原稿の情報そのものが間違っていることがあります。古い地図を参考にしていたり、ウロ覚えだけで原稿を作成してしまうことも。
原稿を作成する際は、常に「情報は最新のものであるか、内容は正しいか」に気をつけましょう。
特に原典ではなく、何らかの書籍・文章の二次使用である時は注意が必要です。
英単語のスペルミスにも注意。デザイン的なアクセントとして入れた英単語にスペルミスがあったり、高校生でもわかるレベルの誤文を堂々と広告に載せていたりしたら、恥ずかしい会社だと思われてしまいます。
校正に当たる時は常に辞書や事典を参照しながら、時にはインターネットを活用し、正しいかどうかを丹念に確認することが重要です。

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