2017ハロウィン定着で、新しいシーズンモチベーション創出。次の販促イベントは?
今から24年前。
山手・フェリス女学院のそばの洋館を借りて広告制作の仕事をしていたのですが、毎年10月31日になると、袋に詰めたお菓子を玄関に用意しておいたものです。
玄関をノックするのでドアを開けると、仮装した子どもたちが「トリック・オア・トリート」といってくるので、袋に詰めたお菓子を渡すと帰って行きます。
ほとんどが、インターナショナルスクールの子どもたち。
アメリカの文化に敏感な、横浜・関内にあった、いきつけのバーでも、当時周辺のお店とコラボしてハロウィン・パーティを企画しましたが、仮装にはなかなか抵抗があり、誰もが同じ目線で盛り上がれるイベントでにはなりませんでした。
日本においてハロウィンは、外国の子どもたちだけのシーズン・イベントだったのです。
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ハロウィン大ブレイク
東京ディズニーランドの「ディズニー・ハロウィン」やショッピングモールでのイベントで、じわりと認知度を上げたものの、20世紀の日本において、ハロウィン・イベントへの関心度は、まったくといっていいほどありませんでした。
ところが21世紀に入ってコスプレ文化が広がり、さらにイベント好きな若者たちのお祭り騒ぎがブームに火を付け、渋谷を筆頭に、街を挙げてのイベントにスケールアップ。
年々拡大し、今ではバレンタインを追い抜き、クリスマスに次ぐ国民的なイベントになってしまいました。
2014年、ハロウィンの一週間前に、知人の結婚式で六本木へ行ったのですが、夜の街がゾンビだらけで、何が起こったのかと思いました。
昼間は子どもたちがお菓子をもらい、夜は若者たちが朝までお祭り騒ぎを楽しむ。
仮装していない方が浮いてしまうくらい、手の込んだコスプレイヤーばかり。
ただいま地元の街では、すでに子どもを対象にしたハロウィンイベントのポスターが貼られています。
都内でも、原宿・お台場・六本木・渋谷・二子玉・下北沢からピューロランドまで、ハロウィン・イベントだらけ。
今年も大盛り上がり間違いなしのようです。
ハロウィンの経済効果
日本記念日協会によると、2016年の市場規模は、「バレンタインデー」が約1340億円、「ハロウィーン」が約1345億円と推計。はじめて「ハロウィーン」が「バレンタインデー」を越えたそうです。
セールスプロモーションを企画する上で、シーズンモチベーションは強力な武器となります。
シーズンモチベーションとは、その季節のイベントで購買意欲がアップすること。
1月はお年玉需要でおもちゃやゲーム、成人式で衣装や成人祝いの商品が動きます。
2月はチョコや恵方巻き、3月はひな祭り・ホワイトデー、4月は入学式・新生活、5月は母の日&ゴールデンウィーク、6月は父の日、7月はボーナス需要…と、毎月ごとのイベントや人の動きに合わせて、需要が見込める商品を重点的にプロモーションしていくわけです。
特に流通業界(デパート・専門店街・ショッピングセンター等)では、シーズンモチベーションがプロモーションの軸となっています。
ところが二八(にっぱち)と呼ばれる2月と8月は、どうしても売り上げが落ちる月とされています。
2月は、12月・1月と続く出費がかさむ月の反動で、8月は暑くて購買意欲が下がるといわれていますが、シーズンモチベーションとなるイベントがないのも一つの原因となっています。
そこで新しいイベントを仕込むことで、新たなシーズン・モチベーションを創出。
バレンタインはチョコレートの販売増のための広告戦略によって定着し、恵方巻きもコンビニの無理矢理なプロモーションで売上げを伸ばすことに成功し、売上げが落ちる2月において、売上げを伸ばすことに成功しています。
実は10月も、食欲の秋・行楽の秋・読書の秋・スポーツの秋といったシーズン・モチベーションはあるものの、大きなイベントがない月でした。
かつて流通業界でanniversary(開店○周年記念)がこの時期に多かったのは、秋に展開するキャンペーンがなかったということも、ひとつの理由になっています。
というわけで、商業施設では、ハロウィンのイベントはかなり前から力を入れていました。
仮装用のグッズからお菓子、インテリア、雑貨といったハロウィングッズのセールスだけでなく、仮装してきた子どもにお菓子をプレゼントするという、ファミリー層集客にぴったりのイベントだったのです。
そして大人を巻き込み、満を持して大ブレイク。
恐るべしプロモーションの力。
今年もたくさんの、人とお金が動くこと間違いなしです。
ハロウィンの次に流行るのは?
ネットでググると、ハロウィンの次はイースターが来るといわれていますが、イースターは春分の日の後の、最初の満月から数えて、最初の日曜日。卒業・入学式や桜の花見とかぶるので、シーズン・モチベーションとして、大きな盛り上がりはあまり期待できません。
一部で盛り上がりを見せているカラーランに似たイベントとして、カラフルな色の粉や水を「ハッピーホーリー」と言って投げ合うインドの「ホーリー祭り」というのがああるそうですが、これも3月。
何匹目のドジョウになるのか分かりませんが、次のイベントを流行らせるのは、なかなか難しそうです。
それでもまたコンビニと大手広告代理店が組んで、無理矢理なにか流行らせるんだろうなぁ。