横浜、親不孝通り・曙町にて。スジの人に関わってはいけない、たったひとつの理由。
週刊文春9月28日号に、野田聖子(総務大臣)の夫は元暴力団員(会津小鉄会)であるという記事が掲載されました。しかも前科2犯。野田聖子は出会う前のことで、今は足を洗っていると言いわけをしていますが、暴力団員なんてみんな人権を踏みにじって平気な輩なわけで、すなわち人ではありません。そんな相手と結婚している野田聖子も、まともな人間なわけがありません。そもそも政治家なんて、ヤクザか右翼か宗教団体がらみ。みんな同類なので、さほどおかしな話ではないのですが。
私がチラ見した、向こう側の世界
昔ながらの繁華街、伊勢佐木町界隈。週末ともなると、カップルや家族連れで賑わうショッピングスポット。なのですが、一歩裏道に入ると様相が変わります。
福富町、長者町、曙町、黄金町、末吉町、ちょっと離れて扇町、寿町・・・
組の事務所がそこら中にあり、スジの人たちがあちこちにウロウロしていて、どこもカタギが踏み入れてはいけないエリアです。
とはいっても普通にしていれば、ヤクザの方からカタギに関わって来ることは滅多にありません。
ところが、酒が入るとそういうわけにはいかないこともあります。
「兄ちゃん、酒おごってやるから一緒に飲もうや」
平成の初め頃、ファッションヘルス街になる前の曙町・親不孝通りにあったブルーズバー、トムソーヤのカウンターでひとり飲んでいると、テーブル席で飲んでいた、いかにもヤクザと分かる風体の団体が声をかけてきました。
スキンヘッド、パンチ、角刈り、白のスラックスに和柄のアロハの5人。
さすがにこれは一緒に飲んだらヤバイと思ったのですが、どう断って良いかわかりません。
すると、カウンターの中にいたマスターが急いで出てきてそのテーブルに座り、
「私に一杯おごっていただけますか」
と割って入ってくれました。しばらく楽しそうに飲んでいたのを、私は背中で聞きながら、マスターに感謝しました。
ヤクザの団体が帰った後で、
「カタギに声をかけるなんて田舎者だね。ヤクザの借りは3倍返しが相場だから、絶対におごってもらっちゃ駄目だよ。」
と教えてくれました。
トムソーヤは場末の小さなブルーズバーだったにも関わらず、月に一度、必ずやってくる常連のヤクザがいました。そのヤクザはブルーズが好きなわけではなく、トムソーヤと同じ建物に入っている、“ベイブリッジ”という台湾人女性専門の売春パブで、一度に5人くらいの女性を買いっていました。“ベイブリッジ”は2時までだったので、店が終わると朝までやっているトムソーヤに連れてきては、一緒に飲んでいました。
いかにもヤクザ然としていたので、極力近づかないようにしていたのですが、騒いだり暴れたり、女性とイチャイチャすることもなく、いつもスマートに飲んでいました。
そして、毎月顔をあわせていたので挨拶くらいはするようになりました。
1年ほど経った頃、テーブル席で飲んでいたその常連が、カウンターで飲んでいた僕に話しかけてきました。
「俺はヤクザをやっている」
他に客はいませんでした。相変わらず数人の女性を連れていました。女性の趣味はあまり良くありませんでした。
「俺はここから3時間くらい離れた小さな街で、小さな事務所を構えている。ヤクザやってるとたまに息抜きしたいけど、地元じゃ、どこへいっても顔が割れてるから、落ち着いて飲めやしないし、女も買えやしない。だから毎月一晩だけ、100万持って、俺のことなんか誰も知らない横浜までやってきて、羽根を伸ばしているんだ」
ヤクザは勝手に身の上話をはじめました。地元の店に行くと、みんな気を使ってくるからこっちもハメをハズせない。かといってちょっと離れた店に行くと、そこのシマを仕切っているヤクザから、何しにきたんだっていう目で見られて、落ち着いて遊べない。
なんだか話しを聞いていると、ヤクザもいろいろ大変なんだなぁ。ヤクザだって普通のオッサンなんだなぁと思い、僕は酒の勢いを借りて聞いてみました。
「なんでヤクザやってるんですか」
ヤクザは答えました。
「イイ服着て、イイ物食べて、イイ女を抱くためだよ。そのために人を殺せるのがヤクザだ」
ヤクザには二度と近付かないようにしようと、心に決めました。