横浜を愛した昭和のイラストレーター。アンクルトリス柳原良平。

サントリーの宣伝部で、開高健、山口瞳という、ペンで日本の文化を支えた2人の文豪と共に、一時代を築いたイラストレーター、柳原良平氏。
“アンクルトリス”という名前を知らなくても、ウイスキーを飲まなくても、イラストを見れば、誰もが見たことがあるのではないでしょうか。
広告業界で、コピーライターとして働いている私にとっては、雲の上の上の人です。
かつて、山手通り沿いの山手33番地にあったデザイン事務所に勤めていた頃、石川町の駅から山手通りに登っていく坂の途中に柳原良平氏の家があり、毎日その家の前を通って通勤していました。
たまに、散歩をしている柳原良平氏の姿をお見かけすることもありました。
柳原良平氏の家は、横から見るとなんとなくアンクルトリスのカタチになっています。
2015年8月、84歳でお亡くなりになったのですが、晩年まで絵画やイラストを描き続けていたようです。
ある日、そんな柳原良平氏の作品展が、せんたあ画廊で開催されている、というお知らせが、ドライブ中に聴いていたFM横浜から流れてきました。
“せんたあ画廊って、聞いたことあるなぁ”
山手通り沿いのデザイン事務所に勤めていた20年前、ずっと「セルテ」の広告を制作していました。
“これは行かなくては”
と、ちょうど座間から246を町田方面へ流していたので、保土ヶ谷バイパスに乗って一路横浜へ。
一時間弱で関内に到着。
せんたあ画廊は小さな画廊で、2〜3人しか人がいなかったのですが、ゆっくり見られるのでそれはそれでよし。
柳原良平氏は無類の船好きだったそうで、船の絵が多く、また、山手をはじめ、横浜の風景を書いた作品も数多く展示されていました。
そして、そのすべての絵やイラストが、色彩も、人の表情も、線のタッチも、明るく、楽しく、活き活きと描かれている。
昔のトリスウイスキーの広告も展示してあったのですが、それを含めてすべてが圧倒的に力強い人間賛歌。
マーケティングとか、価格訴求とか、お客様満足度向上とか、それに比べればあまりに矮小な理論で作っている、いまの広告の志の低さに恥じ入る気分でいっぱいです。
柳原良平氏の作品展は昨年末のことで、すでに終わっていますが、現在茅ヶ崎市にある「開高健記念館」にて、「開高健と柳原良平」展開催中。
4月24日迄なので、興味のある方はぜひ。