奇珍・三陽・ロイヤルウイング。私的横浜・中華料理の名店3選
みなとみらい線の終点が元町中華街まで伸びて、交通の便が断然良くなった中華街。元町中華街駅ができる前は、JR関内または石川町の駅から徒歩10分くらいかかったのですが、今では地下の駅から地上に上がれば、中華街のど真ん中に出られます。
中華街を含む山手・元町・山下公園一帯が、日本でも有数のデートスポットだったバブルの頃から、私が横浜に住んでいた15年前くらいまでは、休日に車で中華街に行くなんて、確実に大渋滞に巻き込まれる上に、中華街に着いたところで駐車場がなくて、空くまでグルグル回って諦めて帰ってくるのがオチでした。
ところが今では、駅ができたことと共に、若者の車離れもあって、車で訪れる人が激減。さらに大きな駐車場もできて、たまに休日に遊びに行っても、悠々と車でドライブできて、いつでも駐車場に駐められるようにるようになりました。
そんな時代の移り変わりと共に、中華街も若い世代に継がれ、観光地化がすすんでいく中、食べ放題のお店が増えて、味が落ちたなんていわれたりもしていますが、25年くらい前の中華街だって、聘珍樓や重慶飯店や同發といった一部の老舗や、当時から知る人ぞ知る四五六菜館や海員閣、順海閣といった名店以外のお店は玉石混淆、美味しくないお店も結構ありました。
実際に食べ放題の中華料理は100点満点で60点くらいの料理ばかりですが、
何十種類もの料理が自由に選べて、大勢で行くほどいろいろ食べられて楽しいし、コストパフォーマンスがものすごく良いです。4人家族で色々な種類の中華料理をお腹いっぱい食べて、1万円で結構おつりが来ます。
コースで頼むと、3,000円以上はかかる上、3人前を4人くらいで食べてちょうど良いくらいのボリューム(お店によりますが、基本的に中華料理は量がかなり多めです)で出てくるので、4人家族で行くと、食べ頃の息子が2人いてくれないと、食べきれないこともあります。
美味しい中華を食べたいときと、気軽に中華を食べたいときとでお店を使い分ければ良いだけです。
はじめての中華街なら、せっかくなので有名店。何度目かなら、肉まんや点心、スィーツの食べ歩きも楽しいです。
天津甘栗を差し出されても、できるだけ貰わないようにしましょう。
結構しつこく「買え」といってくることがあるので面倒です。
中華料理といえば中華街、中華街といえば中華料理。
なのですが、同じ横浜市中区にありながら、中華街をしのぐ中華料理を食べることができるお店があります。
さすがに中華街にいったことがない人には、まずは当然中華街がオススメですすが、何度目かの横浜で、ちょっと違った中華料理を楽しみたい、通な横浜を満喫したい方へ、完全主観、独断と偏見で、美味しいオススメ中華料理店を3店ご紹介します。
Contents
1軒目「奇珍」
元町から本牧方面へ進み、山手のトンネルを抜け、100メートルくらい先の右手にある、知る人ぞ知る中華の名店。大正7年創業、横浜の中華料理店の中でも1・2の古さを競う、老舗中の老舗です。まわりに何もないしアクセスも悪く、なかなか足を運びにくいのですが、いつも結構混雑しています。
かつて、中華街で新しくお店を開こうとしている料理人は、まずはここに食べに来ていたそうです。
そんな名店にもかかわらず、奧のテーブルで焼売や餃子を皮に包んだりしていて、価格も味も庶民派中の庶民店。メニューも、どこの街でも見かける中華屋にあるような物ばかり。期待していくと拍子抜けします。
竹の子ソバやシウマイが有名なのですが、私がおすすめするのは、なんといってもチャーハン。丼茶碗に盛られ、油でギットギト。味も濃いめで身体に悪そうな一品なのですが、これがとにかく絶品。イマドキのあっさりパラパラ系のチャーハンではなく、昭和の頃の近所のラーメン屋のチャーハンの味が楽しめます。
観光ガイドからちょっと外れた、横浜に住んでいる人でもあまり知らない、元祖・横浜中華の味を、機会があれば、ぜひ一度お試しください。
2軒目「三陽」
楊貴妃も腰抜かす。毛沢東もビックリ。
『とんねるずのみなさんのおかげでした』のキタナシュランはここからはじまりました。
今では有名店になってしまい、いつ行っても混雑していますが、物心つくかつかないくらい幼い頃からよく父に連れられて野毛にいっていた私は、成人するまでず〜っと、この店は絶対に近づいてはいけないいかがわしい場所だと思っていました。
店に入ると、「生ビールと鶏と餃子ね」と、まずは店主の一存で、勝手に注文が決められてしまいます。そして、テーブル席に座るとすぐに生ビールが運ばれてくる。そしてお通しにバクダンというニンニク丸ごとの唐揚げ。これがとろりとした食感で、臭みが少なく、食べた後のことをあまり気にせずにニンニクの旨みがたっぷり楽しめる逸品。そして餃子がドカンとテーブルに置かれる。ちょっと大きめ、肉多め。王道の美味しさ。鶏には、ニンニクがガッツリ効いた味噌ダレがかかっていて、白飯が欲しくなる一品。
そして、料理が運ばれてくるたびに、いちいち店主が絡んできます。
「ニンニクで精付けたら、うちは3軒となりのラブホテルと提携してるから、ラーメン屋から来たっていったら割引して貰えるよ」
「おっぱいサワー(=ラムネ〈胸〉サワー)を飲むと、最初に1cm、触ってもらって1cm、飲み終わって1cm、3cmもおっぱいが大きくなるよ」
楊貴妃も腰抜かすギャルのアイドル(メニューに書いてある)「チンチンラーメン」を1人前頼むと、店員さんが「チンメン一丁」と厨房に声をかけたにもかかわらず、「チンチンね」と言い直し、とにかく下ネタで話を膨らませる。
そもそも店のメニューのほとんどが下ネタがらみなので、何を頼んでも下ネタトークになってしまいます。
そして、餃子は2分くらいで出てきたのに、チンチンラーメンが運ばれてくるまで30分。
以前もチャーハンを頼んだら40分くらい待たされたので、「まだですか」と聞いたら「いま作っている最中です」と言われ、1分後に運ばれてきました。三陽では、時間はおおらかに流れているのです。
チンチンラーメンは、白濁したスープに、ニラとタマネギがたっぷり。ニンニクが効いていて美味い。
基本、全部ニンニク味。
その後頼んだチャーハンはニンニク味ではなく、油多め、味濃いめ、奇珍に通じる、昔ながらのチャーハン。
とりあえず、何を食べても美味しさと楽しさは保証します。一皿の量が多めなので、できれば4〜5人で行くのがおすすめ。
なのですが、オススメしないのがオリジナルのドリンク。テポドンサワー(マムシ酒とマムシ粉末)なんて悪酔い必死。
もうひとつ注意。この店には壁から蛇口が出ていて水を飲めるようになっているのですが、これもできれば飲まない方が良いみたいです。
店の奥にキタナシュランの人形が飾ってあるのですが、この姿が三陽のカオスっぷりを象徴しているのではないかと思います。
3軒目「Royal Wing」
横浜大桟橋から出航している、日本唯一のエンターテイメント&レストラン船「ロイヤルウイング」。
中華街があるにもかかわらず、あえて中華料理を提供するという美味しさへの自信。
横浜港をクルージングしながら、こだわりの料理を楽しむ至福のひととき。
乗船料+料理代金でかなりいいお値段になりますが、横浜港の絶景を楽しみながら食べる絶品中華は、価格以上の満足感。
生バンドの演奏からテーブル・マジックまで、まさにエンターテイメントな時間が用意されています。
中でもオススメなのが、バイキングでもコースでも食べられる、大海老のマヨネーズソース。そこいらのエビマヨとはわけが違います。
以前ロイヤルウイングの仕事をさせていただいたのですが、担当の方もイチ押しだった一品です。
ロイヤルウイングのもうひとつの活用法。
ビール飲み放題&前菜3種、点心3種のビアセット2,160円(+乗船料)で、船上ビアガーデンが楽しめます。
気軽に・・・というわけにはなかなかいきませんが、誕生日や結婚記念日と行ったスペシャルディに、絶対オススメの中華です。
最初にもお伝えしていますが、中華街はもちろん押さえた上で、予算と目的に合わせて、2度目、3度目の横浜・中華の参考にしてみてください。