熊本が生んだ坂本晴美、有栖川宮事件でセルフプロデュース失敗。
有栖川宮詐欺事件(ありすがわのみやさぎじけん)は、2003年(平成15年)4月に東京で発生した詐欺事件。
華族・有栖川宮の祭祀継承者であると偽った男性が偽の結婚披露宴を開催、招待客から祝儀等を騙し取った。 wikiより
知っていますか? 覚えていますか?
ほんの一瞬、日本中の話題をさらった大事件。
10年以上経ってしまった今となっては、すっかり風化してしまいましたが、当時は連日テレビで、妃殿下を騙っていた坂本晴美さんのインタビューが放送され、かなり注目を集めていました。
右翼団体「日本青年社」の名誉総裁で、「有栖川宮記念」という政治団体の総裁、北野康行が、「有栖川識仁(さとひと)」と名乗り、皇室であることを詐称。 wikiより
本人曰く、「京都のホテルのレストランで、高松宮よりご落胤である旨を告げられた」そうです。
2003年4月6日、東京青山で坂本晴美妃殿下と結婚披露宴を開催。皇室と偽り、約400人の招待客から祝儀を騙し取った…ということで詐欺罪で逮捕。
ダイヤモンド☆ユカイ、エスパー伊東、石田純一、デーブ・スペクター夫人、羽柴誠三秀吉・・・と芸能人・著名人を巻き込んだことでも話題になりました。
Contents
実は私も巻き込まれていた...ら面白かったのに。
実は私、坂本晴美さんと一緒に仕事をしていたことがあり、結婚式の招待状ももらっています。
“皇室”ということでいくら包んで良いのかわからず、恐れ多くて欠席したのですが、あれだけ話題になったのなら、行っておけばよかったとものすごく後悔しています。
招待状も捨ててしまいました。
テレビでは稀代の詐欺師のような扱いを受けていて、過去にはダイヤモンド☆ユカイ、エスパー伊東、羽柴誠三秀吉らも騙されたというような発言をしていましたが、なんだか違和感があります。
結果的に皇室を騙ったのはまずかったのですが、今でもあれは、詐欺というわけではないと思っています。
坂本晴美さんの仕事。
そもそもコピーライターだった私がどこで一緒に仕事をしていたかというと、小さな広告代理店に勤めていた頃、バリバリのベンチャー起業家だった社長が、夜の街のどこかで坂本晴美さんと知り合い、彼女の人脈の広さをかって、顧問として会社に雇い入れたことに始まります。
本人から聞いた略歴は・・・
◇ミスインターナショナルに選ばれたけれど未成年だったので本線には行けなかった
◇地元でTVレポーターをやっていて、女性が温泉に浸かりながらレポートをするのは自分が最初だった
◇熊本に本社のある製薬会社(再春館製薬)でセールスをやっていた頃、無料お試しセットのプロモーションを電通に指示して作らせた
◇別のMLM系化粧品会社(エイボン)でトップセールスになったことがある
◇どこかの一流会社で秘書をやっていた
〈こちらも参照〉
出会った当時は、その広い人脈を利用して、ビジネスコンサルタントのようなことをやっていて、
「4億円の不動産物件の買い手を探してくれって頼まれちゃった。」
なんていう話をいつもしていました。
そんな中で、たまに企画や制作が必要な案件が舞い込んでくると、私のところにまわってきていたのです。
やはり、それなりに胡散臭い案件が多かったのですが、そもそも20世紀末期、ネットバブルで一発当てては消えていった会社をはじめ、ベンチャー系の企業はどこも胡散臭いところばかりでした。
中には、今でもテレビでよく見かける夫婦問題研究家が主宰する、カウンセラー養成システムの企画を手伝ったこともあります。
坂本晴美さんの中身。
性格は超自己中で超上昇志向。
いつもまわりを振り回して、本人自身、“自分が中心でなければイヤ”といっていました。
さらに「私を受け入れてくれる人とだけ、お付き合いできればよい」と、潔く割り切っており、そのため社内のほとんどの人が彼女に近づきませんでした。
私は、“テレビドラマでしか見たことのないような、白鳥麗子の如く、高慢ちきで上から目線の女性って、本当に実在していたんだ”と面白がって、一緒に仕事をさせてもらっていたのですけれど。
本当に社内では煙たがれれていましたが、とにかく類稀なる美貌(40歳を過ぎていたのですが)と、それを武器にしたコミュニケーション能力の高さで、寄ってくる人も多く(男女問わず)、本当に人脈は広かったです。
様々なビジネスで揉まれてきただけあって、仕事もきっちりとしていました。
2000枚以上の名刺をデータベース化して、顔を覚えていないような人も含め毎年全員に年賀状を送ったり、ファイリングシステムで資料を整理したり、ビジネス本に書いてあるような、仕事ができるようになるために実践すべき基礎的スキルは、すべて身につけていました。
また、前日どんなに飲んでも早起きしてきちんと子供のためにお弁当を作ったり、妻子ある男性は恋愛対象にしないと言い切っていたり、仕事ができて、良き母で、モラルもしっかりしていたのですが、残念ながら、それを自慢げに吹聴するので、本当にウザいおばさんでしかありませんでした。
メディアを動かす行動力。
私は社長ともめて、その広告代理店をクビになってしまったのですが、それから1年後、披露宴の招待状が届きます。
その披露宴を仕切っていたのは、クビになった広告代理店(の社長)でした。
“会社を辞めて付き合いがなくなっていた私のところにまで招待状を送ったくらいだから、データベース化していた2000人全員にに招待状出したんじゃないかなぁ”
と思ったのと同時に、かなり立派な招待状だったので、すごいお金をかけてるなぁと感じました。
この披露宴、ネットを見てもどこにも記述がないのですが、実は中止になっています。というのも、皇室のどなたかが体調を崩され、それにともなって自粛、延期していたのです。
中止の手紙もちゃんといただきました。
かなりの損害だったと思います。詐欺を目的としていたら、中止なんてしません。
坂本晴美さんは本気で皇室に入れると信じていたのです。
すでに大きなお子さんが2人いたのですが、たぐいまれなる超上昇志向、ずっと、さらなる優秀な遺伝子を欲しがっていました。北野康行と出会ったのが、一回り以上若い一流大学出の青年実業家にふられた頃ということもあり、“皇室”というのは最上級の響きだったと思います。
そして結婚式は仕切り直し。
しばらくして、2度目の招待状が届きます。この時点で、披露宴の仕切りは、クビになった広告代理店から別のイベント企画会社に変わっています。
恐らく中止になった招待状の印刷費等の支払いで、金銭トラブルがあったのではないかと思います。
詐欺の内容なのですが、
一緒に写真を撮るだけで1万円も取られた。
でも強制ではないのだから、一緒に写真を撮らなければいい。
皇室だからということでご祝儀を包んだのに騙された。
と、今は亡き羽柴誠三秀吉(今は亡き三上誠三)はテレビで話していたのですが、彼が大阪府知事選挙に出馬した際、広告代理店で選挙用うちわを制作していました。そこで晴美さんと面識があったので招待されているのに、騙されたっていっても、そもそもご祝儀じゃん。
晴美さんとしては、知り合いみんなに祝福されたいから、名刺をもらった人たちに招待状をばら撒いただけ。本人を祝福する気もないのに、皇室だからと言ってホイホイ出席して、騙されたといっている方がどうかしています。
問題は皇室を騙ったことにあり、不敬罪の見せしめとして、たいしたことのない詐欺罪で逮捕に至ったというのがホントのところだと思います。
そもそも、なんでこんなアンダーグラウンドな詐欺がおおやけになったかというと、坂本晴美さん自身が、皇室が結婚式を挙げるということで、プレスリリースをしたそうです。
ですが、ほとんどのメディアがスルー。
週刊新潮だけが取材記事として取り上げ、そこから少しずつ話が大きくなりだし、ようやくテレビが取り上げるようになると、ここぞとばかりにテレビに出演して、自己PRをはじめます。
それを見たほとんどの人の反感を買って、結局逮捕。
そして、まだネットの影響力がなかった頃に、一般人が大炎上。
メディアを使って自己プロモーションをしようとしたのだけれど、本人は本気で信じていた、その出自がウソだった。
ショーン・マクアードル川上を上回る、メディア露出から転落へのスピード感。
晴美さんは、自分をプロデュースして、世間に認めてもらいたかっただけなのに。
売名行為は、大きなリスクを伴うということを、
しっかりと心に刻んでおかなければ。
坂本晴美さん、また一緒に仕事しましょう。
坂本晴美さんは、公判でも殿下と呼び続けていました。
美貌と才能をもっとうまくコントロールできたら、もっと男に恵まれていたら、と思うと残念でなりません。
彼女から学んだビジネススキルは、ほんの少しですが、今でも役に立っています・・・いや、そうでもないかなぁ。
最終的に懲役2年2ヶ月の実刑判決が下されていますが、すでに2人は出所。週刊ポストでセミヌードになったりしていましたが、2008年時点で政治団体『有栖川宮記念』として活動しているそうです。
今度はネットの世界から、世間を賑わせてくれることを期待しています。
Comment
文中、「皇室」と書かれているところのほとんどが、正しくは「皇族」ではないでしょうか。
最初 単なる誤植かと思ったのですが、「皇室」と繰り返し表記されているので、何か勘違いされているように思います。
「誰それ(人物)が皇室を騙った」では、日本語として意味が通じません。
それと「本線には進めなかった」→「本選」。