港町からバブルを経て未来都市へ。YES ’89横浜博覧会

Once Upon a Time in YOKOHAMA

平成元年―1989年3月25日から10月1日まで、191日間にわたって開催された横浜博覧会を境に、横浜は異国情緒と文化の香り漂う港町から、空想科学小説に描かれているような、ステレオタイプの未来都市を目指して大きく様変わりしていきます。

幼い頃の記憶を思い出せるところまでたどってみると、桜木町駅の海側には貨物の駅や倉庫、そして小学校の分校があったような気がするのですが、その記録が見つかりません・・・。そして、その向こうにはすぐ海が迫っていました。

海とは反対側には、当時から廃墟のようだった「ぴおシティ」、その裏側には戦後の焼け跡にできた闇市から発展した野毛の飲み屋街が広がっていて、今よりも足を踏み入れにくいエリアでした。

そして同じ年の4月30日、高級ブティックからスポーツクラブ、シネコンまで憧れのブルジョアライフがそろった大型ショッピングモール「マイカル本牧」が誕生。

フェンスの向こうのアメリカの影響を受けた危険な香り漂う街から一躍、横浜でも最先端のトレンド・スポットに踊り出ます。

横浜市営地下鉄が本牧まで延長されるはずだったのですが、その計画をすすめていた政治家が落選して、白紙になってしまったという噂を聞きました。結局みなとみらい線も「元町中華街」で終点。本牧エリアは陸の孤島として、すっかりさびれてしまっています。
〈参考:マイカル本牧(アーカイブ)〉

元町には、文明開化以来独自の文化を支えてきた老舗を押しのけるように海外ブランドのブティックが建ち並び、武豊とオグリキャップ人気によって火がついた空前の競馬ブームは労務者の街だった日ノ出町に若い男女を呼び集め、関内では馬車道と伊勢佐木町に店を構えた二つの丸井から最新のファッションが発信され、その片隅で、かつては横浜ペンクラブの面々をはじめ多くの文化人が集った文壇バー「ホースネック」が、その文化を次の世代に受け継ぐことなくひっそりと店をたたんでいました。
「ホースネック」には、横浜ペンクラブの会員だった父に連れられて、小学生の頃に何度か行った記憶があります。

横浜で生まれ育った私は、そんな過去と未来の端境期、たった515メートルしか走らないリニアモーターカーに乗りたいがために横浜博覧会の会場で数100万人が行列を成していた頃、時代の足音も、文化の産声も届かない夜の横浜・裏通りで、酒と音楽に溺れすっかり無駄な時間を過ごしてしていました。

その頃に私が見た横浜の風景を、今後少しずつ紹介していきたいと思っています。今回はその第1回目。

YES’89 横浜博覧会、テーマは「宇宙と子どもたち」

私は当時22歳。すっかり飲んだくれていたのですが、一応、神奈川日産自動車という有名企業に、コピーライターとして勤務していました。

神奈川日産自動車では、横浜博覧会に物販ブースを出店していて、また取材でいく機会も多かったため、私は関係者用の横浜博覧会フリーパスを持っていました。

いつでも、いくらでも、出入り自由。

ほとんどのパビリオンを見ることができたのですが、中でも三菱未来館の3Dシアターの映像クオリティは他を圧倒していて、2時間待ちにも関わらず、リピーター続出の一番人気パビリオンでした。

とはいえ、1回見れば充分。私が入り浸っていたのは、ソ連や中南米やインドやカナダやフランスの都市がひとつの建物の中に入って、歴史や文化や観光を紹介していた国際交流館。

恐竜の化石や宇宙船の展示等の他に、イベントや物販もやっていて、当時は珍しかったフォルクローレの演奏が聴けたり、ソ連のブースでウォッカが安く売っていたのをよく買ってきていました。中でも、他で売っているのを見たことがない、褐色のロシア ウォッカ スタルカ 43度 500ML がめっちゃ美味しかった。

年前から再販されているのを、Amazonで発見しました。けど、高っかい。横浜博で600円だったのに・・・。

YES’89 横浜博覧会の概要

以下、横浜博覧会プレスキットより。 IMG_1393_2

テーマ:宇宙と子どもたち
サブテーマ:1.新しいライフスタイル 2.子供の世界

 

テーマゾーン

宇宙館・日石地球館・IBM 人間館・コカ・コーラ いん石館・コスモワールド 子供共和国で構成された複合施設。

宇宙館
NASAが開発した宇宙飛行士になるためのプログラム「アストロキャンプ」や、宇宙映像映画の上映、宇宙科学実験機器の展示など、人間と宇宙の関わりを体験できるパビリオン。

日石地球館
IMAXシアターにて、地球誕生以来46億年の変容と実態、生命の誕生と繁栄を描いた「軌跡の星・地球」を上映。

IBM 人間館
未来を予測しながらタイムトリップを体験できる参加型のインタラクティブシアター「Think Theater」と人間の可能性と未来を体験できる展示空間「Time Tube」で構成。

コカ・コーラ いん石館
世界最大級の隕石「チュパデロス」を展示。

民間・公共団体パビリオン

横浜館
21世紀の横浜のイメージを縮小した模型の街「ガリバーランド」、横浜の歴史を映像で紹介する「ワンダーシップ号の冒険」、「タイムカプセル21」「イベントステージ」で構成。跡地はパシフィコ横浜の展示ホールに。

かながわ愛ランド
アイマックスシアターで、山田太一脚本の作品を上映。

三菱未来館
約10分のショートムービー「imagination」を上映。超リアルな3DCGで一番人気のパビリオン。平日1時間待ち、休日2時間待ちでした。

ビックシャトル日産・芙蓉館
当時世界最大(18×24m)のスクリーンで見る立体映像と、映像に同調するムービングシートで少年の夢と冒険を上映。

東京ガス館
「ガスマックスシアター」で、ガスの炎とアニメ映像を組み合わせた炎の妖精のミュージカルを上映。

COOPふれあい館
ライブイベントと「出会いとふれあい」をテーマにした映像を上映。

住友館
コンピュータ制御の人形やロボットたちが、宇宙への夢とロマンをかたったSFミュージカル「HIMIKO」を上映。

海のパビリオン
六角形のドーナッツ型の浮き桟橋で、帆船や海洋機器の展示、イルカショーなどを実施。

Wa!TEPCO
太陽光を利用した宇宙空間の「宇宙ヨットレース」を3D映像で体験。

三和みどり館
宇宙帆船アルゴス号の甲板に設置された観客席で、様々な星たちとの出会いの物語を体験。

松下館
2つの可動式ステージで、映像+ライブショー「光と闇の伝説」を上演。

三井・東芝ガリバー館
水中撮影による3Dをはじめ、東芝の先端技術による4つの旅を体験。

NTT館「未来へのはこぶね」
ドーム型の天井スクリーンに映し出される「ドームミラービジョン」で、地球誕生から未来までの時を体験。

MMCコーヒー
熱帯雨林や南極、砂漠など、最新のSFX技術で、あたかもそこに旅行したかのような疑似体験が楽しめた。

日本たばこ館
超大型映像と実際の人間のコラボミュージカル「虹の国の少年」を上演。

横浜高島屋館不思議ドーム
光と音とキャラクターで異次元の世界を演出する「ファンタジーゾーン」と、宇宙船で起こる出来事を映像化したスペースオペラ「ラテルナマジカ」を上映。

NEC C&Cパビリオン
観客が宇宙船を操縦する「C&Cシミュレーションシアター」と、コンピュータによるゲームゾーン「C&Cプレイランド」で構成。

ミート・ミート館
神奈川県食肉事業協同組合連合会の出展。舞台と映像を組み合わせた立体パフォーマンス「マジカルサーカス」を上演。肉料理も提供。

日立グループ館
世界初の大型250インチ2面マルチハイビジョンシアターによるインタラクティブ映像「タイムジャンプ」を上演。

建築パビリオンTANO CITY
特撮によるSFX冒険ファンタジードラマを上映。「ベイブリッジ」「宮ヶ瀬ダム」等のビッグプロジェクトの理解を促進する展示ゾーンも併設。

横浜そごう館「クピドンの冒険」
シアター全体を舞台に、クピドンという名の主人公が活躍する愛と冒険の物語、映像とライブを組み合わせたミュージカルを上演。

UCCパビリオンクレイトンハウス
ジャマイカに現存する、旧英国総督別邸「クレイトンハウス」を再現。カリビアンブルーをイメージしたカフェ、オープンステージでは連日イベントを開催。

かながわプラザ
神奈川県内の自治体の歴史・文化・産業・未来像等などを展示。

ハートピア・ファコム館
IMAXシアターで、映像叙事詩「地球の詩-めぐる四季」を上映。

その他の施設

国際交流館
姉妹都市を中心に、海外の文化や観光、歴史を紹介。ソ連の宇宙船、上海の恐竜の化石などを展示や、ライブ等のイベントも開催。

開港記念村
横浜の明治の街並みを再現。

横浜美術館・日本丸・横浜マリタイムミュージアム

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恒久施設として閉幕後も展示中。 

バブル景気を追い風に、そこそこ盛り上がった横浜博。

その後は他の博覧会の例にもれず、更地にして、未来都市へ再開発。
日本一の高層ビル「ランドマークタワー」を中心とした、21世紀仕様の最先端の街が誕生するはずだったのですが、ランドマークタワーを建てている途中でバブル崩壊。

三菱地所が投げ出しかけたものの、なんとかランドマークタワーは完成。世紀末に向けて暗雲立ち込めた頃、あの灰色の建物がバベルの塔のように見えたのは、私だけではないはず。

結局MM21地区半分以上の土地が、10年以上放置されることになってしまいました。

そんなMM21地区も、今日では14年連続で来場者数が増え続け、2014年の来街者数が、7,600万人(前年比約400万人増)に。
まだまだ12ヘクタールもさら地が残っていて、市をあげて誘致を続けているとのことで、ようやくあの頃思い描いていた未来都市の景色に近づいてきていますが、見慣れた景色がどんどん変わっていくのもちょっと寂しいものです。

 

横浜博=130周年。開国博Y150=150周年。

開国博Y150(かいこくはくY150)は、横浜港開港150周年を記念して2009年4月28日から9月27日までの153日間、神奈川県横浜市で開催された地方博覧会である。 wikiペディアより

IMG_3335横浜博の20年後。「開国博Y150」オフィシャル記念アルバムのプレゼン依頼を受けました。
ゆかりある横浜の仕事だったので、是非とも取りたかったのですが、事業概要を見ると、目も当てられない惨状ぶり。
どのプロジェクト、どのイベントをとっても、魅力的なイベントがまったくありませんでした。

やる前から、失敗するだろうなぁと思っていたのですが、実際にはじまってみると、想像を上回る失敗っぷり。

プレゼンも途中で消滅してしまいました。

その後、中田市長は、責任を取らずに市長を放棄。松下政経塾卒業生の面汚しですね。

 

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