広告屋のための競合プレゼン攻略講座。絶対負けない提案あります。

最近、競合プレゼンがとれません。

というのも私の右腕的なアートディレクターが辞めてしまったから。

企画が良くてもデザインがいまいちだと、とれるものもとれません。

企画が悪くてもデザインが良ければ、なんとかなっちゃうものです。

というわけで、プレゼン勝率は落ちていくばかり。

それでもADが辞めてもしばらくの間は、結構受注できていました。

というのもクリエイティブ力が高い広告プロダクションは経営立ちゆかずに消えていき、競合相手のほとんどが印刷会社。

印刷会社のクリエイティブ力なら、価格勝負にならなければ楽勝でした。

とはいっても5割くらいは価格で持って行かれましたが。

ところが最近では、クリエイティブ力のない会社は淘汰されてしまったようで、競合相手のクオリティが格段にアップ。

なかなか勝つことができなくなってしまいました。

いま、新規の仕事を受注しようと思ったら、ほとんどがプレゼンになります。

5~10万円くらいの仕事ですらプレゼンに勝たないととれません。

アホな印刷会社がクライアントを甘やかしたツケが、業界全体に染み渡っています。

そこで、競合プレゼンに勝つための正しいプロセスを、クリエイティブディレクターとして考えてみました。

 

オリエンでは質問するよりもヒアリングする

競合プレゼンのほとんどが、新規クライアントからの依頼。

まずはその会社のことを熟知することが重要です。

さらにはその会社の業界を取り巻く現状や社会的背景、ターゲット動向等々、クライアントと同等に理解をした上で、その業界の中でブレイクスルーするための提案をする。

というのが理想なのですが、そんなことは、はっきりいってムリです。

クライアントは365日、自分の会社のことだけ、自分に与えられた業務だけを考えています。

ですがデザイナーやコピーライターは、他にも抱えている仕事もあるわけで、その会社のことを四六時中考えているわけにはいきません。

しかも受注もしていないプレゼン仕事。お金になるかどうかもわからないのに膨大な時間を費やして、100%理解できるまでリサーチするなんてムリです。

ということで重要なのがオリエンテーション。

プレゼンの概要をクライアントに説明してもらう際に、何を聞き出せば良いのか。

業者を呼んでおいて、オリエンシートすら用意していないクライアントもたくさんいます。

クライアント自身、課題を正確に把握できていないため、与件も目的もまとめられない。

オリエンシートが出てきたとしても、A4ペラに制作物の仕様が書いてあるくらいが関の山。

そうなると、どうしても情報が少ないないために、いろいろ質問してしまいがちです。

私がお世話になったCDもADも、オリエン時に、とにかく何でも質問して聞き出そうとしていました。

なのですが、そもそもクライアントが整理できていないので、質問をしても的確な返事が返ってこないうえに、誘導尋問になってしまうことも少なくありません。

オリエン前に知りうるだけの情報を仕入れて、ある程度仮説を組み立てるという準備をしておいて、オリエン時に質問をして、欠けているピースを埋めていく・・・というのが通常のプロセス。それはそれで必要なので、やることは当然なのですが、それ以上にプレゼンを左右するのは、相手に自由に話をさせて、ひたすら聞く側に回ることができるかどうか。

相手は毎日その仕事のことばかりを考えている、いわば専門家なので、業界や会社のことを教えを請う気持ちで話を聞いていると、はじめは無口で何を考えているかわからないような人でも、どんどんいろいろなことを話してくれます。

〈ポスター制作〉

というプレゼンに対して、表現すべき内容やブランドイメージ、ターゲットだけでなく、その背景にある担当者のストーリー、時には会社に対するグチまでを聞くことになりますが、その情報を正しく受け止めることで、提案により深みを増すことができるのです。

「私一人だけで全部の広告を発注していて、大変なんだけど会社はなかなか人員を増やしてくれないんですよ」

なんていう話が聞けたらチャンス。その担当者がどれだけ楽できるかを提案に盛り込んでおけば、担当者に決定権がないとしても、一押ししてくれることは想像に難くありません。

クライアントの与件を正しく解釈するための質問をしていては、競合他社と同じ情報しか引き出せないのです。

 

プレゼン必勝の王道はきちんと抑える

基本ラインを抑えておかなければ、そこで他社との差が生まれてしまいます。

やるべき準備は、最低限きちんとしておくことが重要です。

最低3案は提案する

オリエンでは、「新しいアイデア」とか「インパクト」といったことが求められていたのに、採用になったものが今までと代わり映えしない無難なアイデアだったりするのはよくあることです。

斬新すぎたり、インパクトを重視したがために、クライアントに対する理解度を疑われることもよくあること。

提案をするときには、クライアントに対する理解度を示すド真ん中ストレートのA案と、ちょっとだけ新しいアイデアを加えた変化球B案、そしてコースぎりぎりを攻めたC案の3案は用意したいところ。

A案だけではつまらないといわれて終わり。

通したいのはB案だけれど、つくりたいのはC案。

でも結局は、受注できてもA案かB案に落ち着くんだろうなぁと思っていて、C案で受注なんていうことも結構ありがちな受注パターンです。

予算を含め選択の余地を残しておく

プレゼンで勝ったからといって、プレゼン通りの案で最後まで行くことはほとんどありません。

なぜか追加で案出しを求められたり、全く違うオーダーをしてくることもよくあります。

なので、提案に対してキモではないところは、ガチガチに決めておかない。

受注してから一緒に詰めていきましょうといって、提案の自由度を高めておく。

予算に関してもある程度幅を持たせて提案する。

クオリティに関わってくるので、クリエイティブとしてはやりたくないところではあるのですが、撮影をした場合と、撮影なしでレンタルフォトを使用した場合や、原稿完全支給の場合などで見積もりの見直しもできるようにしておく。

冊子の提案でも、ページの入れ替えを踏まえておいたり、表紙案を複数案用意したり、確定でなくても良いところは相手に選ぶ余地を残しておくことで安心感を与えることができます。

もちろん、自信を持ってこれ!

というアイデアは、自信を持って売り込むべきですが。

クライアントのメリットを提示する

クライアントが求めているのは、結局のところ広告効果。

ターゲットに合わせた表現で、商品の特徴をしっかり伝えるためにインパクトのあるビジュアルで訴求します。

なんていっても、まったくクライアントの心には響きません。

キャンペーンの投下で店舗への集客20%アップを図ります。

とか

ポスター掲出エリアでの認知度を5%アップすることで、潜在顧客の顕在化を図ります。

なんていうことを提示するのは非常に難易度が高いのですが、常にクライアントのベネフィットを考えて企画することで、自画自賛・思い込みの企画から、クライアント目線の企画へと見え方が変わっていきます。

依頼されている仕事以外の仕事を生む提案をする

クライアントの立場になって、クライアント目線で企画を考える。

とはいっても、同じステージに立とうとしてはいけません。

相手は365日、自分の会社のことだけ、自分に与えられた業務だけしか考えていない。

同じステージに立ったら、どうしてもその人よりも劣った知識でプレゼンに望むことになるので、わかっていないところを突っ込まれるのがオチ。

様々な業種の仕事に携わっている広告屋の広い視野で、いままでと違う新しい景色を見せてあげることが、プレゼンの勝率を上げる大きなポイントになります。

他業種・業界で成功したキャンペーンや、すでに使い古された表現も、違う業種・業界に持って行けば、新しいアイデアとして受け入れられることもしばしば。

クライアントは自分の業種・業界のことしか見ていないので、広告屋としては「こんな提案、いまさら・・・」と思っても、以外と斬新なものとして受け入れられたりするものです。

常識も、視点を変えれば非常識になります。

新店舗オープンでありがちな集客イベントやノベルティも、大学のオープンキャンパスの受験生向けに転用すると斬新なものになったりすることもあります。

信頼される提案をする

どんなテクニックを使ったところで、結局のところ、競合他社も同じオリエンを聞いて、知恵を絞ってアイデアを考え、ビジュアルを考えてくるわけで、よっぽど天才的なひらめきでも無い限り、プレゼンで大きな差が付くことはなかなかありません。

失注した後によく言われる台詞があります。

「最後の2案にまでは残っていたんですけどね」

受注しなければ利益が生まれない、2番目ではダメな、オール・オア・ナッシングのプレゼンを続けていては、時間とやる気が失われていくだけです。

2番目でも尚その先の利益につながるプレゼン戦略が必要になります。

そのためには、クライアントのことをどこまで理解しているか、どこまでそつなくきめ細やかに提案してくるかと言うことに加え、どこまで「この人、この会社と一緒に仕事をしたい」と思わせるかということが大切です。

逆に言うと「あなたと、あなたの会社と一緒に仕事をしたい」という思いを、どれだけ伝えることができるか。

オリエンで求められているものはもちろんですが、そこから派生したプラスα提案をいくつか精査して企画に入れることで、「相談できそう」「頼りになりそう」「信頼できそう」という風にクライアントに思ってもらえれば、万が一プレゼンは失注しても、今後もプレゼンに声をかけてもらえるようになるし、他の仕事が受注できる可能性も広がります。

デジカメの新商品発売キャンペーンのプレゼンで、“こっちの方がかっこいい”といって、デザイナーが新商品自体のデザインバリエーションを無理矢理企画に突っ込んできました。

キャンペーンは失注になったのですが、新商品のデザインが採用になったことがあります。

半年後、一年後を見据えて少しずつ距離を詰めていくことで、プレゼンで単発の仕事を受注する何十倍も大きな利益を生むレギュラークライアントにまで育て上げていく。

ひとつの仕事を追うだけでなく、クライアントからの信頼を得るための礎をつくること。

それが一番の、競合プレゼン必勝法です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です