3億円×3基=9億円。コピーライター史上、最大のプレゼン案件とは。

まずは、エネルギー問題を真剣に考えてみる。

火力発電

私が小学生だった1970年代。石油はあと20年から30年で枯渇するといわれ、代替エネルギーの開発が重大な問題となっていました。ノストラダムスの大予言とあわせて、未来は暗雲立ち込めていたのです。なのにいまだ枯渇せず。ハルマゲドンも訪れず。実はまだまだ、石油は無尽蔵にあるらしい。それならばこのまま火力発電を続けることで、エネルギー問題は解決か、と思いきや、CO2による地球温暖化問題で、やはり代替エネルギーへのシフトが必須課題なのは、20世紀から変化なし。

太陽光発電

2012年、公共産業向け太陽光発電設備への全量買取制度が導入されました。太陽光発電で発電したエネルギーを、1kWhあたり42円の10年据え置き価格で買い取るというものです。この金額だと、規模にもよりますが、7〜8年で初期投資分を回収でき、以降10年目まで利益を生み続けてくれることになります。というわけで制度導入直前、にわかに太陽光発電がバブルの様相を呈し、太陽光発電設置の代理店が乱立。遊休地に軒並み太陽光パネルが並び出します。

takao
太陽光発電設備を販売するための営業用パンフレット需要も高まり、何社かのツールを作らせていただきました。ありがとうございます。

その後、段階的に売電価格は下がり続け、4年の間に1kWhあたり24円まで下落。あっというまにビジネスとして成立しなくなってしまいました。

しかもクリーンエネルギーのはずなのですが、山林を切り開いて山の斜面に設置したり、堤防を削って設置することで、鬼怒川の決壊を引き起こした原因となったり、完全に本末転倒状態。単なる金儲けの道具だけでなく、環境破壊の元凶にまで成り下がっています。

風力発電

世界の風力発電施設の発電能力は今年、4億キロワットを超え、原発を初めて上回ることがわかった。発電コストが大幅に下がり、普及を後押ししている。(中略)
風が吹く時にだけ発電する風力は稼働率が30%程度で、80%近い原発に比べ実際の発電量は約3分の1程度とみられる。ただ、世界風力エネルギー協会(WWEA)は、風力の発電能力が2030年には20億キロワットに達すると見込む。いまの傾向が続けば、発電量でも風力が原発を超える可能性がある。(2015年12月29日朝日新聞)

風がなければ発電できず、エネルギーロスも大きく、そこまで広い遊休地も少ない日本ではなかなか普及しませんが、世界的にはかなりの勢いで拡大している風力発電。

とはいえ、風力発電はクリーンエネルギーであるということが売りなはずなのですが、風力発電所の近隣住民に対する騒音公害や、低周波・超低周波による健康被害も心配されています。

というわけで、いずれもエネルギー問題の決定的な解決策とはならず、最悪の選択としてまさかの原発稼働再開。

エネルギー問題って結局のところ、最終的にそれに関わる人、町、国、企業etc.の利権問題でしかないようです。

そして私が関わった、自分史上最大の案件とは。

時は2001年。宇宙の旅は実現せず、忌まわしきアメリカ同時多発テロ事件が起きた年。

当時勤めていた広告代理店に出入りしていた起業家から、ある案件の企画書を一緒に作成して欲しいと頼まれます。

その名も

大原風力発電所(仮)スポンサー募集のご案内

 

大原風力発電所(仮)設立のいきさつ

1: 千葉県大原、太平洋に面した強い風が吹く場所に、3万坪の敷地を有していた施設があったのですが、ずっと閉鎖状態になっていました。

2 :そこに目を付けた日本自然エネルギー株式会社(東京電力出資)が、土地の所有者に「風力発電所を作らないか」と持ちかけてきます。

3 :風車1基、約1.5億円。敷地内に3基作れる。国からの助成金が30%、発電した電力を売れば、10年かからずに減価償却できるとのこと。

4 :その話を土地所有者から聞いた起業家は、“これはビジネスになる!”ということで、話を預かってきます。

 

とはいっても、10年先まで利益が出ない風力発電所。そもそも土地所有者でもないのに、果たしてどうやって儲けようとしたのでしょうか。

 

風力発電所をお金に変える方法

風力発電所で、即利益を生むためにやろうとしたこと。それは風力発電所の媒体化でした。

企業のメリット1

企業が風力発電をすると、その実績に対して、日本自然エネルギー株式会社から「グリーン電力証書」が発行されます。その証書を持って、企業が使用している電気の一部を風力発電でまかなっているとみなされ、企業の環境への取り組みとしてPRすることができます。

企業のメリット2

風力発電所のネーミングライツ(命名権)獲得。発電所に企業の名前を掲げることができます。

企業のメリット3

発電所・風車の設備に企業名を掲げることで、巨大な屋外広告となります。
発電所のある大原は、成田空港発着の飛行機が上空を通過。2002年の日韓ワールドカップ開催に向けて、日本の入口に看板を掲げることで、スケールの大きな企業イメージアップが図れます。

企業のメリット4

広大な敷地を利用して、様々なイベントが開催できます。

企業のメリット5

風力発電によって作られた製品の企画・販売によって、エコロジーを切り口としたプレミアム感を打ち出せます。

建設費、媒体費込みで1基3億円×3基=9億円。原価が一基約1.5億円なので、4億円以上の利益。

かなりスケールの大きな話ですが、当時アメリカではマクドナルドや鉄道、ビール会社などが風力発電を行っており、エコブームの流れに乗って、話に乗ってくる企業はいるのではないかと、皮算用をはじいていました。

風力発電所がお金に変わらなかった理由

企画書を仕上げ、土地所有者にも了承を得て、さあ売り込みに行こう。

としたのですが、小さな広告代理店には、9億円の媒体費を出してくれるクライアントがいませんでした。

そこで、知り合いのつてで博報堂に持ち込もうとしたのですが、風力発電所なんていう怪しげな案件を聞いてもらえる先が見つからず、結局企画から先に進むことなく頓挫。

営業力がなければ、そもそもプレゼンテーションすらできないという、あまりにも当たり前すぎるビジネスの基本を、完全に見失っていました。

というより、私はあくまでコピーライター。クライアントを見つけてくるのは、営業か話を持ってきた起業家がなんとかするものと思っていたのですが甘かった。

ご存じの通り、現在大原に風力発電所なんてありません。企画は陽の目を見ることなく、消え去ってしまったのでした。

 

もしかしたら関わっていた、さらに大きな案件

風力発電が頓挫し、しばらくたった頃、その起業家が、新たな案件を持ち込んできました。

2002年に石原慎太郎東京都知事が「お台場カジノ構想」を発表したことを受けて、お台場にサーキットを建設し、F1を誘致するという壮大な話が持ち上がっているとのこと。

しかも、今度はオートバックスというリアルなスポンサーを同伴。担当者レベルの話でしたが、内容によってはいくらでも出すといっているらしい。

そこで登場するのが、その広告代理店の顧問をやっていた坂本晴美さん。彼女の知人の都議会議員に様子を探ってもらったところ、お台場にサーキットを建設するなんていう話は出ていないらしい。

結局、話自体がなかったことになってしまいました。

そういえば、さらにでっかい広告制作の仕事がありました

この会社については、別の記事であらためて書こうと思っていますが、パラリンピック株式会社という、パラリンピックのアスリートをサポートするために設立された企業の仕事をやっていたときのことです。

そこの社長の知り合いで、会社に良く出入りしていた三井財閥直系の方が、ちょうど当主が亡くなって、相続したものがあるので寄付をしたいと申し出てきました。

それは全十二幅の巻物で、美術館で展覧会が開かれたこともあるという国宝級のお宝でした。

一幅1億円、十二幅まとめて買えば8億円。そんなA4ペラのチラシを制作。

当然ですが、売れるわけがありませんでした。

 

その頃携わっていた怪しげなベンチャー事業が、ひとつでも成功していたら・・・
大金を稼ぐことって、本当にいろいろな要素がうまくかみ合わないと、難しいものです。

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