校閲ガール・石原さとみの仕事に見る、コピーライターの校正作業。

校閲ガールの第1話を見たのですが、初出社の場面まで見て、やめてしまいました。
テレビドラマなんてマンガだと割り切って見たものの、石原さとみのテンションについていけず。
校閲という仕事にスポットが当たるというのは、言葉を扱う仕事をしているものとして、興味深いものはあるのですが。

校閲と校正の違い

校閲は、漢字や言葉使いの間違いを直すだけでなく、原稿を読んで事実関係の間違いや矛盾点など、内容に間違いがないかまでをチェックします。

校正は、原稿と照らし合わせて間違いがないかをチェック。あくまでも元の原稿が忠実に再現されているかどうかを見るので、書かれている内容をチェックすることはありません。

第三者がチェックして校閲に引っかかるような内容的な間違いが見つかる文章を書くようでは、コピーライターとして失格。
というわけで、広告業界では校閲という言葉は使いません。

校正は、もちろんコピーライターの仕事

広告には、文字校正と色校正というものがあります。文字校正は文字どおり、文字をチェック。
色校正は、実際の印刷の直前に色が正しく再現されているかをチェックします。

色校正を見るのはデザイナーがメインになりますが、文字校正はコピーライターの仕事です。

もちろん誤字・脱字があってはいけないのですが、テキストの入力ミスやデザイナーのオペレーションミスなど、どんなに慎重に作業を進めていても、ありとあらゆるところでミスがおこります。

なので広告制作において、どんな仕事においても、校正はなくてはならない工程。
しかも初校・再校・3校・・・念校と、2度も3度も見直し、その度に修正を入れます。内容的な修正を入れることもあるので、校閲に近い部分もあるのですが、あくまで校正作業と呼んでいます。

ひとつでもミスがあると、その仕事の制作費分のマイナスだけではなく、お客様に対するケアや制作物の回収、以降の仕事の打ち切りなど、さらに大きな損害を生むことも少なくありません。
なので、コピーライターになりたての頃は、コピーを書くよりも校正作業がほとんど。
朝から晩まで、来る日も来る日も校正をし続けることになります。

とはいえ校正には向き不向きがあります

校正においては、原稿と照らし合わせることが基本。
文章を読んでしまうとミスに気づきにくいので、一文字ずつ潰していきます。
時には後ろから見たり、1人が原稿を読んで1人が文字を追っていくということもよくやる手段。

それでもミスる時はミスる。

逆に、ずっと誰も気づかなかったミスにフッと目が止まったり、ひらがなの「り」や「へ」と、カタカナの「リ」や「ヘ」の違いを見つけられることもあります。

基本に忠実に校正をすることはもちろんですが、間違いやすいパターンを読んで、ミスを見つけるというスキルも必要です。

以前、何度校正させても、間違いを見つけることができないコピーライターがいました。あまりにもひどくて仕事にならず、とはいえ私にはクビにする権限がなかったので、「今度ミスったら、コピーライター向いてないから辞めてくれ」と告げました。今だったらパワハラですね。本人は至って真面目な好青年だったので、その言葉を受け、30分くらいで終わるであろう校正に、何時間もかけて取り組んでいました。

すでに校正を終えていて、直しが入ったところをデザイナーが修正できているかどうか確認するだけの作業。結果、見落としだらけ。本人も限界を感じ、辞めて行きました。

コピーライターにとって、校正スキルは必要不可欠な能力のひとつなのです。

校正・校閲ゆるゆるなwebの世界

10年以上前、百貨店のチラシの仕事をした時に、情報のボリュームがかなり多かったので、印刷会社が校正を専門にやっている人を手配しました。最初にクライアントからもらった商品情報が色々と間違っていたので、制作の途中で私がひとつひとつ文字原稿を修正して、その文字を元に印刷するためのデザインデータを作成。ところがそれを構成する際に、クライアントの元原稿を使って校正したので、私が修正したところに全部赤字が入って戻ってきました。
本当に間違っているところと、私が修正したところを付き合わせるのが、かえって面倒なことになりました。
校正をしている人は、それくらい融通がきかない上に、マシンのように正確に赤字を入れてきます。

さらに10年遡り、まだ新聞が活字で組まれて印刷されていた頃。毎日新聞社でゲラ刷りのアルバイトをしていたことがあります。
ゲラというのは記事原稿ごとに活字を組んだもので、ゲラ刷りというのはそれにインクを塗って仮印刷をすること。それを記事原稿と一緒に校閲へ渡してチェックしてもらうわけです。
一度だけ、組まれた活字を一文字だけひっくり返したらどうなるかと思って「の」の字を180%反転してみたのですが、翌日の新聞を見ると、きちんと直っていました。
校閲ってスゴイです。

それに比べてネットの情報のいい加減なこと・・・。
校閲にかけたら、おそらく8割以上の記事に間違いがあるのではないでしょうか。

私のブログも、ほとんど校正していません。

というのも、間違っていたら気が付いた時にすぐ直せるから。
間違いを指摘されても、すぐに直せるから。

しかも、校正って画面でやってもなかなかミスを見つけられません。
完全な流攻勢をするのなら、プリントアウトする必要があります。

面倒臭くてやってられません。web上には、そんな記事がいっぱいです。

だから印刷物を制作する時に、webからの引用は超危険。
官公庁ですらミスります。

というわけで、私はそもそも今でも毎日本業で校正をしているのですが、校正に縁のないライターの方に、「校閲ガール」で描かれているひとつの言葉に対するこだわり方は、是非参考にしてみてください(私は「校閲ガール」見てないけれど、webのレビューを参考にさせていただいております)。

コピーライターにとっては当たり前の、言葉の選び方、文章の正しさへのこだわりが、ほんの少しでも理解できるのではないかと思っています。

 

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